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世界経済QE3の副作用で通貨戦争に再び突入か
雇用回復のためFRBは量的緩和第3弾の実施を決めたが、ドル安で通貨上昇のとばっちりを受けそうな国もある
待望の決断 量的緩和第3弾の実施を発表したFRBのバーナンキ議長(13日) Jonathan Ernst-Reuters
アメリカで8%台の失業率が続くなか、FRB(米連邦準備理事会)は13日、量的緩和第3弾(QE3)の実施を決定した。雇用の改善を目指し、住宅ローンを担保にした証券を月400億ドル規模で買い入れる。さらに、14年の終盤とされていたゼロ金利政策の期限を15年の半ばまで延長する。
これで投資家も負債を抱える人々もひと安心。株価も上昇してめでたしめでたし......とも言えないようだ。
経済規模が世界最大のアメリカで金融政策が変われば、世界にも大きな影響を及ぼす。もちろんプラスの影響ばかりとは限らない。
今回はFRBの発表を受けて、米ドルが下落。将来への自信を急に取り戻した投資家たちが、アジアや中南米などの高金利通貨に資金を移動したのが主な原因だ。ブラジルや中国、マレーシアといった新興国の通貨はドルよりずっと金利が高い。だからそうした国々の通貨に投資するのは妥当な判断だ。
では一体何が問題なのか。
通貨への需要が高まれば相場は上昇し、その国の輸出製品の値段も上がる。こうなると、輸出への依存度が高い国は深刻な打撃を受ける。
09〜11年に起きたのと同じ現象だ。米金融システムの信用を取り戻し、経済活動を活発化させるためにFRBが量的緩和を行った結果、大量の外国資本がブラジルや中国、マレーシアなどの新興国市場へ流入。こうした国々の政治家は激怒し、自国通貨を安く保つため為替介入などの措置に乗り出した。
この苦い経験がまだ記憶に新しいなか、新興国の指導者たちは今回のFRBの決定に警戒を強めている。当時、世界の状況を「通貨戦争」と称したブラジルのマンテガ財務相は、今回の量的緩和の影響を引き続き注視し、必要な場合は適切な対策をとると発言した。
From GlobalPost.com特約