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マーケティング暴力で壊れたタイのイメージ復活を託された男
富裕層向け国際情報誌「モノクル」を創刊したブリュレの美意識に懸けたタイ政府
大胆な人選 ブリュレの美的感覚で外国人投資と経済成長を取り戻せるか Mark Sullivan-Wireimage/Getty Images
政府と反政府勢力の激しい対立や大洪水など、ここのところ暗いニュースが多いタイ。政府は外国人投資家向けに国としての「ブランド」を再構築するため、カナダ出身のマーケティングの達人タイラー・ブリュレを起用した。
この組み合わせは実にちぐはぐだ。タイの最大の魅力は、カオスと陽気なムードが混在している点。それはタイ社会に特有の温かさに負うところが大きい。
しかし、ブリュレのスタイルはまったく異なる。彼が創刊したロンドン発の国際情報誌「モノクル」からうかがえる美的感覚は、クールな流行を追い求める富裕層向けのテイストだ。
実際、彼が指揮するキャンペーンのウェブサイトを見ても、ブランド再構築が成功するとは考えにくい。地方の稲田や都会の近代的なビルといったおなじみの写真を使って、タイのもてなしの心とインフラを強調するだけで新味に乏しい。
ブリュレによれば、目標はタイ人の目に映るタイを「作り直す」ことではなく、「フランクフルトや香港、ストックホルム、サンフランシスコの人々にメッセージを送ること」。タイの経済成長を加速させられるかどうか──お手並み拝見だ。
From GlobalPost.com
[2012年6月27日号掲載]