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ユーロ危機再選挙へ突っ走るマイペースなギリシャ
緊縮生活の苦しさから、国民は自己破滅的な極左や極右を選ぶしかない袋小路に追い込まれた
ユーロを脅かす男 反緊縮を掲げ、6月17日の再選挙でも優勢と予想されるギリシャ急進左派連合のツィプラス党首 Tobias Schwarz-Reuters
迷路に入り込んだギリシャの行き着く先は、やはりユーロ離脱と破綻なのか。EUなどからの金融支援と引き換えに緊縮財政を進めてきた連立与党が5月初旬の総選挙で惨敗した。耐乏生活に国民がノーを突き付けた形だが、あまりに愚かな選択だと言わざるを得ない。
選挙では「債務返済を拒否しよう」と訴えた極左政党や、移民排斥を掲げる極右政党が躍進し、内閣樹立に向けた先週の連立協議はことごとく失敗。来月に再選挙が行われる見通しが高まった。再選挙後も同じ状態に陥る可能性は高く、もはやギリシャ政治は崩壊したも同然だ。
確かにユーロ体制には問題があり、欧州中央銀行(ECB)の判断にも誤りはあった。だが、危機の根源はギリシャ自身にある。この国はユーロに参加した時点で申告したほどのカネを持っておらず、その後も他国をだましながら、身の丈に合わない暮らしを続けてきた。
恐ろしいのは、政府が国民受けの悪い政策を進めるしかなく、それに不満な有権者が総選挙で極右や極左を選ぶしかなかったことだ。財政赤字に苦しむ他のユーロ諸国は、ギリシャのような袋小路に迷い込むべきでない。
© 2012, Slate
[2012年5月23日号掲載]