ドイツ国債「札割れ」は風評被害か
2012年1月10日(火)15時47分
確かに、甘い薬には毒がある。量的緩和やユーロ共同債で財政再建の手を緩めれば、モラルハザードが起きて結局はデフォルト(債務不履行)を加速させる可能性がある。
代わりにメルケルが主張しているのは、財政赤字国に厳しい緊縮財政策を迫ること。先週フランスのストラスブールに集まったユーロ3大国(ドイツ、フランス、イタリア)の首脳は、財政赤字国の予算を監視したり罰則を与えたりできるようリスボン条約を改正する案で合意。ドイツの主張に沿ったものだ。
つまりドイツは、過重債務国がひと息つけそうな「甘い薬」を拒否し、あくまで「苦い薬」を処方しようとしているのだ。
だがドイツが主張する案は債務国の景気を悪化させ、かえって財政危機を深刻化させる懸念もある。だから市場はドイツ国債の入札に応じないで政策転換を迫ったのかもしれない。
ユーロ圏の構造問題の解決に取り組もうとするメルケルが、近視眼的な市場からとんだとばっちりを食らった格好だ。
[2011年12月 7日号掲載]
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