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ギリシャ脱税天国ギリシャで始まる金持ち狩り
財政再建のため徴税強化に取り組む政府は、巨額脱税者のリストをネットで公表すると宣言
滞納しすぎ 正当な処罰を求める世間の声が政府を動かした(アテネの抗議デモ) John Kolesidis-Reuters
債務危機に陥っているギリシャにとって、徴税強化は大きな課題。ギリシャ政府は「脱税天国」の汚名を返上すべく、巨額の税金逃れをしているビジネス界の大物たちの逮捕に踏み切っている。脱税が国家財政に与える損害は、年間200億ドル以上。この国が借金漬けになった理由の一つでもある。
政府は、莫大な脱税を働いた人々の名前を近く公表する方針だ。11月半ばにエバンゲロス・ベニゼロス財務相は議会に対し、個人情報の問題がクリアできしだい、数週間以内に脱税者のリストをインターネットに掲示すると宣言した。
主要紙カシメリニによれば、先週は民放テレビ局「オルタ」のコンスタンティノス・ギアニコス社長が付加価値税150万ドルの脱税容疑で逮捕された。
今月に入って、62歳のビジネスマンが約1100万ドルの付加価値税を脱税したとして訴追されている。北部の都市テッサロニキでも、追徴課税をそれぞれ19万ドル収めていなかったとして2人のビジネスマンが逮捕された。「正当な処罰がなされていない、と世間が抗議した結果だ。正しい方向への第一歩だ」と、国際的な汚職監視団体トランスペアレンシー・インターナショナルのギリシャ支部長、コスタス・バコウリスは語る。
バコウリスは、ギリシャが脱税一掃に成功するには「やるべきことが山積みだ」と言う。徴税システムがほとんど機能していないからだ。
IMFの脱税対策チームが活躍
欧州委員会(EUの行政執行機関)の特別調査委員会が最近発表した報告書はこう指摘している――ギリシャでは820億ドルの税金が未払いになっている。しかし政府が徴収しようとしても、腐敗した裁判制度に阻まれてしまう。
ギリシャでは長年にわたり、脱税が人々にとって一種の「娯楽」になっている。その傍らで政府は浪費を続け、巨額の負債を積み上げてきた。
しかしここ1年半で政府の徴税能力は向上している。欧州委員会の報告書によれば、これはIMF(国際通貨基金)が派遣した脱税対策チームに負うところも大きい。「ごく一握りの担当者が新たな手法を使っただけで」、今年前半に1億5400万ドルの未納金を集めることができたという。