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ヨーロッパ経済本丸ドイツに飛び火したユーロ危機
ドイツ国債の異例の「札割れ」はユーロ圏の優等生国家にも危機が波及する前触れか?
肩を落として メルケル独首相も債務危機の火の粉は避けられなかった Fabrizio Bensch-Reuters
11月24日のサンクスギビング(感謝祭)はもともとアメリカの祝日だが、アメリカ文化がすっかり浸透しているヨーロッパも同じようなお祭りムードで盛り上がる。しかし、今年の感謝祭は違った。
前日の23日、ユーロ圏の債務危機が遂にドイツに波及した。ドイツ政府が10年物国債の入札を実施したところ、応札額が募集額の3分の2にとどまった。この異例の「札割れ」は、ユーロの存続は不可能と投資家がみている明確な証拠だ。
ドイツ経済は安全と考えられているため、国債の利回りは2%前後とそれほど高くない。ギリシャやイタリア、スペイン、ポルトガルのような政府債務問題もない。そんなドイツでも国債を買ってもらえない。
トレーダーたちは、入札が不調に終わったことの意味を先を争って説明しようとした。すべてが、悲観的な解釈だった。
ECBの関与強化は求めないことに
24日朝には、ドイツ国債の利回りは上昇を始めた(ドイツ国債の価格下落に等しい)。世界有数の強くて均衡の取れた経済を誇り、ユーロ圏の原動力でもあるドイツに、市場はより高い金利を要求し始めたのだ。
これでドイツの指導者たちもやっと、債務危機と闘うには欧州中央銀行(ECB)がユーロ諸国の国債を買い取って市場に資金を供給するなどの機能拡大に同意するだろうか。それとも彼らはあくまで抵抗し、ユーロ崩壊を迎えても仕方ないと考えるのか。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フランスのニコラ・サルコジ大統領、イタリア首相に就任したばかりのマリオ・モンティは24日、仏北東部ストラスブールで首脳会談を行った。欧州債務危機をめぐるこの話し合いで、ECBの機能拡大は重要課題の一つとなった。しかし結局、ECBの独立性を尊重し、債務危機への対応を強化することは求めないという結論に落ち着いた。
ヨーロッパの人々がこの会談の結論を感謝したのかどうかはわからない。ただイギリスのようなユーロ圏外に暮らす人々にも、今年の感謝祭がちょっとむなしく思えたことは確かだろう。英国家統計局の最新統計によればイギリスでは昨年、平均給与が1.4%上昇した。しかし5%を超えるインフレ率を加味すれば、実質所得は3.6%減だったのだから。