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欧州フィンランド右派が脅かすEU金融安定化策
議会選挙で債務危機に陥ったポルトガルなどの救済に反対する超保守政党が大躍進。欧州の健全国に反EUの機運が広がる前兆か
反EUで躍進 政権入りの可能性も出てきた「真のフィンランド人」のソイニ党首 Lehtikuva-Reuters
フィンランドで17日に行われた議会選挙で、反ユーロを掲げる超保守主義の政党「真のフィンランド人」が大躍進した。同党は財政が破綻したポルトガルなどへの欧州連合(EU)の救済策に対して国民の不安を煽ることに成功し、大幅に議席を増やした。今後、フィンランド国政だけでなくEUの行く末にも大きな影響力を与えることになりそうだ。
EUに加盟する財政難の国家を救済することに断固反対している真のフィンランド人は、得票率を4%から19%へと5倍近くも伸ばし、第3党になった。連立政権入りの可能性もあると、UPI通信は報じている。
フィンランドは比較的安定した経済成長を続けていて、財務状況も健全だ。経済好調にもかかわらず真のフィンランド人が躍進したことは、今後ヨーロッパ中に政治的ポピュリズムが拡大していく前兆ではないか、と見られている。その原動力は、放漫財政と金融危機の煽りで財政破綻した国々を救済させられることに対する、人々の怒りだ。
ティモ・ソイニ党首率いる反EU政党、真のフィンランド人は、以前は移民の増加や中絶、同性婚などに反対してきたが、前回の選挙では少数の議席しか獲得できなかった。それが最近、敵意もあらわにEUの救済策に反対する選挙戦術に転換。それが奏功した。
くすぶる不満を追い風に
フィンランドは昨年、EUのギリシャ救済に参加。アイルランドとポルトガルを支援するEUの基金にも資金を融通している。
フィンランド議会は他のEU諸国とは異なり、救済策に対して採決を行う権限を持つ。支援策の阻止を目指す真のフィンランド人の躍進によって、計画が承認されずに行き詰る可能性もある。
ソイニはさらに、3月にブリュッセルで行われたEU首脳会議で可決された欧州安定メカニズム(ESM)の創設についても反対していると、UPI通信は報じている。財政難に陥ったユーロ加盟国を支援する常設制度だ。
今回の選挙で、真のフィンランド人の得票率が19%だった一方で、ユルキ・カタイネン副総理兼財務相率いる中道右派の国民連合が獲得したのは20.4%。かろうじて第1党の座を守った。マリ・キビニエミ首相の中央党は7%以上も得票率を落とし、15.8%で惨敗。キビニエミは辞意を表明したとUPI通信は報じた。
EUの健全国家フィンランドで起こった波が、救済策への不満がくすぶるEU諸国を飲み込むことになるかもしれない。
(GlobalPost.com特約)