日本の没落から学ぶべき真の教訓
日本の不調には2つの大きな原因がある。非効率な内需産業が生産性の高い輸出産業の足を引っ張る「二重経済」だ。特に80年代までは「経済の20%にすぎない輸出産業が残りの80%を引っ張っていた」と、オリエンタル・エコノミストのリチャード・カッツ編集長は言う。
だが80年代後半からの円高で、この輸出主導経済が立ち行かなくなる。それからずっと、日本は代わりの成長源を模索してきた。超低金利も多くの「改革」も役に立たなかった。
2つ目の問題は少子高齢化だ。働く夫に専業主婦の妻、2人の子供という日本の核家族は衰退し続けている。89年の時点でも、女性が一生に産む子供の平均人数「合計特殊出生率」は1.57で、人口増と人口減の境目とされる2を大きく下回っていた。そこに景気後退が重なり、男性の初婚年齢は90年の27歳から35歳に上昇したと、ボストン大学のメリー・ホワイト教授(社会学)は言う。合計特殊出生率も1.3まで下がっている。
日本経済は泥沼にはまっている。円高で輸出はできず、少子化と革新なき企業のせいで内需も減り続ける。巨額の財政赤字や超低金利はせいぜい止血の役にしか立たず、経済構造の問題点を正すことはできない。
景気刺激策は今アメリカの経済政策の焦点になっているが、それは間違いだ。景気回復の成否は、最後は民間企業に懸かっている。肝心なのは、規制や政策の不透明性を取り除き、企業の成長を後押しすること。それを怠れば、日本と同様の低成長しか望めないだろう。
[2010年11月24日号掲載]