史上最も孤独な「ツイッター世代」
他者との関わりをメールやSNSに頼ってきたせいで共感能力が低い新世代と、どう共存していくか
一緒だけど孤独 面と向かうと、携帯のほうへ視線を逸らさずにいられない人も
あなたは1日に何回メールチェックをするだろう? 朝起きた時? 夜寝る前? それとも日に何回も? 朝起きて最初に目にするのも就寝前の最後に目にするのも、メールの着信を知らせる携帯電話やスマートフォンの赤い点滅ランプ、という生活はごく普通だろう。いくらうっとおしくても、ほとんどの人がメールなしには生きられない。
そのうえ、ツイッターやフェースブックなどのソーシャルメディアをチェックするのも習慣になっている。私たちの生活を楽にしてくれるはずの技術が、いちばん時間を食う仕事になっている。平均的な十代は1日に7時間以上をデジタル機器の使用に費やしている。それも友人と携帯メールをやり取りする1時間を別にして、だ。
ハイテク機器の利点と言えばもちろん、他者とのつながりを生んでくれること。メールなら外出中も返事ができるし、実際、私たちは過去のどの時代よりも多くの人々と長時間接触している。でももしかしたら、現代人はどの時代の人よりも孤独なのではないか? それがマサチューセッツ工科大学のシェリー・ターケル教授が、新著『アローン・トゥゲザー(一緒だけど孤独)』で問いかけたテーマだ。同書は、テクノロジーと人間との変わりゆく関係を鮮やかに描き出している。
ターケルは15年近くに及ぶ研究と数百人へのインタビューに基づき、テクノロジーが「親密さ」と「孤独」に対する私たちの意識をどう変えたかを明らかにしている。そしてハイテクが生んだ表面的な関係を、いつまでも続く精神的つながりと受け止めることの危険性を説く。
人間関係は「破滅的な事態」に
電話をかけることに恐怖を感じる高校生や、ロボットおもちゃのペットの「死」に動揺する小学生についてターケルは語っている。もしも自分と娘が遠くから連絡を取り合う場合に携帯メールだけを使ったら、娘は40年後に親子関係をどう記憶しているだろう、と考えをめぐらす。しかし心理学者であるタークルにとって最大の懸念は、こうした表面的なつながりが人間の発達面にどんな影響を及ぼすかだ。
「遠くにいる人に携帯メールを送る。無機物を経由して、1人の時も誰かと一緒にいると感じる。それでいて実際に誰かといる時はひっきりなしに携帯機器を使って、孤独な状況に自らを置く。人間関係で何が重要なのかがわからなくなる『破滅的な事態』と言える」と、ターケルは指摘する。
しかしどんなに欠点があろうと、テクノロジーのおかげで生活がずいぶん楽になっていることは確かだ。例えば、少ない時間でより多くの人とコミュニケーションできる。要点のみの会話だけで、無駄な世間話をしなくても許される。新しいセラピーも可能になる。今では高齢者の心を癒す動物ロボットや介護補助に使われるロボット、オタク受けしそうな女性型ロボットも登場している。