最新記事

ビジネス

ベンチャーの主役は中高年の起業家!

2010年9月28日(火)16時02分
シュテファン・タイル(ベルリン支局)

中高年層の活用がカギ

 デューク大学のワドワーによれば、一部のベンチャー投資家が40歳以上の起業家に冷淡な態度を示す風潮の背景にも、創造力に関する誤解がある。「彼らは天才少年たちに投資していると吹聴するが」とワドワーは言う。「(若者による起業の失敗率の高さからすると)自慢できることではない」

 従業員に対する企業の態度にも問題がある。ドレスデン応用科学大学のファーボンクによれば、会社は革新的なプロジェクトには若い社員をつけ、中高年層には決まり切った仕事を担当させることが多い。企業は従業員が新しい専門知識を身に付けるための研修を継続的に行うことにも消極的だ。

 だが労働者自身にも問題がある。中高年労働者の多くがスキルアップの努力を放棄し、時代の流れに取り残されてしまうのだ。EUでは、55歳以上の従業員のうち職業訓練に参加するのは30%にすぎない。一方、55歳未満の労働者の参加率は50%に上る。

 1つだけ明らかなことがある。中高年の起業家と労働者に対する人々のイメージは、努力なしには変わらないということだ。

 自動車メーカーのBMWのように、年齢層の異なる従業員を一緒のチームにするというアプローチも現状打破に効果的だ。定年退職によって失われるノウハウを若者に伝えられるという利点もある。

 ドイツの電機大手シーメンスは、「クロス指導」システムを設けた。年長の従業員が年下の従業員に仕事のこつを教え、同時に若者から最新の技能を学ぶ。こうした変化は最初の一歩にすぎず、改善の余地はたくさん残されていると、ファーボンクは言う。

 高齢化が進行し、世界の経済環境が変化するなかで繁栄を維持するには、労働者も企業も社会も考え方を改める必要がある。年齢を理由に起業家や労働者からチャンスを奪っていては、衰退の坂道を転げ落ちていくことになる。

[2010年9月 1日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

経済・物価の見通し実現なら引き続き利上げ=米関税の

ビジネス

米相互関税、日本経済や世界経済に影響=加藤財務相

ビジネス

トランプ関税に対抗措置警告、貿易戦争拡大か 米で価

ワールド

米上院、トランプ氏の大幅減税案を議論へ 債務拡大に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 3
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中