「こんな仕事はくそ食らえ!」
マクロ的に見ると、過去1年のアメリカの労働者数はほぼ同数。企業はその労働者に対し、もっと働き、生産し、サービスすることを要求してきた。支援も昇給もほとんどないままに。労働省統計局によると、過去4半期の間に「一定量のモノを生産するための労働コストは2・8%減少した。時給の伸びを時間当たりの生産の伸びが上回ったからだ」。
だが一方、労働省統計局が8月10日に発表した4〜6月期の生産性統計は衝撃的なものだった。過去数年間で初めて、生産性が年率0・9%のマイナスを記録したのだ。つまり、労働者が長時間働いても生産の伸びはそれに追いつかなかった。もう限界ということだろう。
スレーターの「自己解放」は、こうした数字の背景にある人々の現実を鮮やかに物語っている。過去2年は、企業にとっての黄金時代だった。彼らは自分たちが雇いたいと思う人材をいくらでも安い給料で雇うことができ、また給料を上げないままでも人材を引き留められた。
だがこの先も成長を続けたい企業は、どこかの時点で頑なな態度を改め、パートであれフルタイムであれ新しい社員を雇い入れるか、下請けと契約するしかない。
多くの企業は、雇用情勢の厳しい今、社員や求職者は仕事を得て維持するためならどんなことでもすると思い込んでいる。実際、そういうアメリカ人も多い。
だが、人は必死になれば決死の行動に出ることもある。きちんとした報酬も与えず労働者を搾り上げ続ければ、「こんな仕事はくそ食らえ」と言われる日がくるかもしれない。