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ユーロ危機

アメリカは欧州経済の道連れになるか

2010年5月27日(木)18時35分
ダニエル・グロス(ビジネス担当)

 ただし今回の危機が1918年のスペイン風邪のようになってしまうと困ったことになる。パニック、恐怖、信用不安こそ現代のインフルエンザ。あっという間に空気感染で広がり死に至る病だ。

 もし欧州の金融市場が破綻し、リーマン・ショックの際にアメリカの金融システムを襲った(そしてあっという間に世界に広がった)のと同じ信用危機に欧州が襲われたら、アメリカにおいても大きな問題を引き起こしかねない。

 そんなときに危険なのはJPモルガン・チェースやゴールドマンといった大手金融機関の株ではない。リーマン・ショックの起きた08年秋以降、一般の人々の知るところとなった難解でニッチな(そしていつしか話題にもならなくなった)金融市場だ。

 CNBCが伝えるとおり、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利、金融機関の資金調達コストの目安で信用不安が高まると上昇する)は11日連続で上昇している。まだ低い水準ではあるが、LIBOR3カ月物は09年7月以来最も高くなっている。

 もう1つの信用不安の指標であるTEDスプレッド(LIBORと米短期国債の利率の差)も急に拡大した。

 今のところ、信用市場のデータは恐怖のウイルスがまだアメリカに上陸していないことを示している。だが08年秋を思い起こせば分かるとおり、ウイルスには強い感染力があることを忘れてはならない。

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