それでもオバマは危機を防げない
金融部門を縮小させるのは、ある意味で健全なことだ。金融業界は才能あるアメリカ人を雇い過ぎる一方で、結果的にはアメリカ全体の投資資本を間違って配分するような戦略を追求した。だが過剰な規制には危険がある。経済成長に必要な通常のビジネスリスクを取ることさえも抑えかねないのだ。
いずれにせよ、規制は将来的な危機を防ぐ万能薬ではない。銀行員やトレーダーや資産運用担当者よりも洞察力のある「見識ある監督当局」など存在しない。07年前半にサブプライム問題が浮上したとき、幅広い金融崩壊を予見できた当局者やエコノミストはほとんどいなかった。迫り来る連鎖反応も予想していなかった。問題は規制の欠如ではなく、想像力の欠如だった。
だから次の危機はどんな原因でも起こり得る。それは金融業界ではなく政府の愚行かもしれない。今から2019年までの間に、連邦政府の債務は11兆ドルに増える可能性があると、議会予算局(CBO)は予測する。米国債は世界金融システムの根幹であり、安全で信頼できると考えられている。過剰な国債発行が投資家の信頼を失ったたらどうなるか。どんなことが起こりうるのだろうか。
いい質問だ。次の危機の種が今回の危機の残骸の中にないことだけは確かだろう。