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BP原油流出
史上最悪の環境・産業災害を招いた
深海油田探査の野望と教訓
深海油田探査の野望と教訓
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原油流出封じ込め後の重大リスク
強力なキャップで噴出口を塞いだのはいいが、油井の脆い場所に大穴が開く可能性もある
小さな成功 一時的な封じ込めはできたが、問題はこの先だ(7月12日、原油の噴出口に新しいフタをする作業のライブ映像) BP-Reuters
英石油大手BPによると、メキシコ湾の深海底にある原油噴出口のキャップを取り替える作業は、作戦開始から3日目の7月12日に無事完了した。これまでは6月に取り付けたキャップから管を通じて原油を一部回収していたが、すき間から漏れ出す原油も多かったため、より密閉性の高いキャップ「トップハット10」を新たに取り付けた。
うまくいけば、これで油井を完全に封印して原油流出に終止符を打つか、最低でも流出する原油をすべて捉えて海上に待機している数隻の原油回収船に送り込むことができるかもしれない。
今度のフタは100%の強力密閉
古いキャップは、掘削装置と海底の坑口を連結するライザーパイプの切断口の上に載せ、管から原油を海上に送るだけの単純なものだった。だが高さ5.5メートル、重さ75トンを超える巨大なトップハット10は、爆発の兆候を察知して坑井を密閉する防噴装置を3段積み重ねたような複雑な構造。外へ出ようとする原油の圧力を完全に封じ込められるだけの強力な水圧式バブルを備えている。
密封の次のステップは圧力試験だ。BPは13日、一時的に油井を完全密閉し、原油の噴出圧力を計る。長期的な封じ込め戦略を練る際に欠かせないデータだ。試験では、新しいキャップに付いたバブルをすべて閉じ、原油の回収を中断する。その上でキャップに付いたセンサーが、噴き出そうとする原油の最大圧力を計測する。このデータから、科学者たちは油井の穴が構造的に強固か脆いかを推測できる。「原油が油井の口から出てきているだけで、横から漏れ出していないことを確かめなければならない」と、BPのダグ・サトルズCOO(最高執行責任者)は言う。
原油の圧力は高いほうがいい理由
圧力は高いほうがいい。油井の内側は傷ついておらず、原油はすべて油井の中を通って噴き出している証拠だからだ。そうであれば、油井をそのまま封じ込めることもでき、流出も止まる(それでも、油井にセメントを流し込んで埋めるための救助井を作る作業は続ける方針だ)。
逆に圧力が低ければ問題だ。深海の油井のひびなどから原油が横に漏れ出して、周囲の岩の間などに染み出していることを示すからだ。最悪の場合、この原油は岩の表面を突き破り、メキシコ湾の海底のどこかにコントロール不能の噴出口を作ってしまうかもしれない。もし圧力が低ければ、再びバルブを開いて原油を海中に出すしかない(BPは、流出する原油を全量回収できるだけの回収船の準備が整うと言っている)
だが、万一試験の結果が不幸なものだったとしても、油井の状態についてわずかながら実証データは得ることはできる。それこそ、ずっと必要で得られなかったものだ。