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ハイチ大地震
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最貧国の惨劇と国際支援のあり方
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ハイチ地震はアメリカの大量破壊実験?
外国メディアを飛び交う陰謀論は天才的すぎて、オバマ政権だけでは実行不可能
噂の震源は? テレビで「アメリカは援助を名目にハイチを占領しようとしている」と発言したチャベス Reuters
外国の報道機関は、アメリカの主流メディアが怖気づいて取り上げないニュースも報じてくれるのでありがたい。ハイチ大地震がアメリカの陰謀だという説もそうだ。陰謀説は今や世界中を駆け巡っている。騒ぎの元は誤った噂にすぎないようだが、そんなことは問題ではない。アメリカの主流メディアも早く、政府に厳しい質問をぶつけ始めて欲しいものだ。
この陰謀は、オバマ政権だけではとても思いつかないほど見事なものだ。「邪悪な悪の同盟」(コメディドラマに出てくる悪のエリート集団)や、闇より太陽を好む「あべこべバンパイア」の協力も仰いだに違いない。
だが動機は何か。最貧国のハイチに地震を起こし、そこへ大規模な救援部隊を送り込むことでアメリカに何のトクがあるのだろう。これについても、さまざまな理論が飛び交っている。
ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は、ハイチ地震はアメリカがイランに使用する目的で開発した地震兵器の実験だとほのめかした。凄い洞察! もっとも、そうした地震でイランの核施設を破壊できるかどうかは不明だ(少なくとも、2003年のイラン南東部地震では破壊できなかった)。
「アメリカを1つにまとめるため」説も
また、カナダのグローバル化研究センターのケン・ヒルデブラント博士の解説も天才的だ。
あなたもきっと私の疑いを察したことだろう。これが事実だとは言っていない。だが、可能性として考慮はしてみるべきだ。
これ(ハイチ大地震)は、これ以上ないタイミングで起きた。オバマ大統領の支持率は急落しているし、保険会社に補助金を与えるような医療保険改革法案をめぐって国論は真っ二つに割れていた。
人道援助を通じてビル・クリントン元大統領やジョージ・W・ブッシュ前大統領とオバマが連帯し、アメリカは一つの大きくて幸せな家族だと国民に信じ込ませるのに、これ以上いい方法があるだろうか。
大いにあり得ることだ。なぜなら近年自然災害は、アメリカ大統領の人気回復に大いに貢献してきたのだから(ハリケーン・カトリーナの災害対策で、ブッシュがどれだけ称賛された思い出してほしい)。
陰謀が面白いのは、首謀者たちが適度に賢くて適度にバカでないと成功はおぼつかないことだ。
さて、この騒ぎはいったいどこまでエスカレートするのだろう。
<追記>
たった今、在米ベネズエラ大使館の戦略通信顧問から以下のメッセージを受け取った。
あなたのブログの記事の内容について、はっきりさせておきたい。ウゴ・チャベス大統領はアメリカの武器がハイチ地震を起こしたという理論とは何の関係もない。この説を主張したのは、国営だが独立して運営されているテレビ局のウェブサイトのブロガーだ。その後、チャベス大統領がその説に同意し、自らも口にしたかのような誤解が生じたが、事実無根である。チャベス大統領はハイチで米軍のプレゼンスが増加することには反対したが、地震の原因が疑わしいと言ったり、そのような陰謀説に加担したことはない。
Reprinted with permission from Daniel W. Drezner's blog, 26/1/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.