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日米関係
属国か対等か
長年の従属外交を脱して
「ノー」といえる関係へ
ブッシュ政権への甘やかしは禁物
譲歩の重要性を理解できないアメリカに対して、日本は同盟国だからこそ毅然とした態度を取るべきだ
昨年9月の同時多発テロで、米ブッシュ政権は貴重な教訓を学んだ。世界で唯一の超大国であっても、一国だけでは物事を成し遂げられないということだ。ただしこの教訓、完全に身についたとは言いがたい。
確かに身についた部分もある。ブッシュ政権の外交政策チームは、事件後すぐに、対テロ戦争を戦うためには国際的な協調体制を築き上げなければならないことを認識した。また、従来の同盟国以外の国々(とくにイスラム諸国)との関係強化が必要なことも理解した。
しかし世界が事件のショックから立ち直るにつれ、ブッシュ政権の国際協調に対する姿勢がかなり限定的であることが明らかになってきた。米政府は諸外国と相談することの重要性は理解しているが、妥協の大切さはわかっていないのだ。
米政府は、世界に貢献するために、小さな国内の利益を犠牲にするのをためらっている。国際機関の強化のために、自国の主権を制限するのも嫌がっている。長期的にみれば国際社会ばかりか、アメリカにとっても害になる態度だ。
単独行動主義にブレーキを
クリントン政権の国防次官補だったジョセフ・ナイは、『アメリカ権力の逆説』という著書でこの問題を扱っている。
ナイによれば、アメリカは軍事的にも経済的にも文化的にも、世界一の力を誇る一方で、これまで以上に諸外国からの支援を必要としている。グローバル化とIT(情報技術)革命が権力のあり方そのものを変質させたため、アメリカは軍事力よりも、もっと「ソフト」な力に頼らなければならないというのだ。
だが、アメリカのジレンマはさらに深い。強大な力をもつがゆえに、世界中の反発を受けているからだ。
こうした反発に対処するには、アメリカが自らの力を弱める以外に方法はない。つまり、アメリカは国内の利益を犠牲にしてでも、国際社会における公共善を追求する意思を見せなければならない。他の国々と協力し、ときには譲歩する姿勢を示さなければならない。国際機関への権力の移譲も認めなければならない。
だが、ブッシュ政権はこの点を理解していない。鉄鋼の緊急輸入制限措置(セーフガード)を発動したのがいい例だ。おかげで同盟諸国からは不興を買い、貿易問題におけるアメリカの影響力にも傷がついた。ただでさえもろいWTO(世界貿易機関)体制にも大きなダメージを与えた。
また、米政府は地球温暖化問題では京都議定書を受け入れようとせず、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約から脱退した。
こうしたアメリカの態度に、日本はどう対処すべきなのだろう。同盟国だからといって、すべてを黙って受け入れる必要はない。日本はアメリカに「ノー」を言うべきだ。
日本はヨーロッパと同様に、アメリカの単独行動主義を抑え込む努力をすべきだ。確かに日本は、鉄鋼貿易や温暖化の問題ではアメリカと対立する選択をした。だが図らずも、これまでいかに日本がアメリカに対して従属的だったか、垣間見える場面がいくつかあった。