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岐路に立つEU
リスボン条約発効、EU大統領誕生で
政治も統合した「欧州国家」に
近づくのか
ニューストピックス
バツラフ・クラウス ●チェコ大統領
ミレク・トポラーネク ●チェコ首相
EU議長が自国で首相を辞任! リーダー持ち回りの欠陥が明らかに
ニコラ・サルコジ仏大統領は昨年末までの半年間、EU議長国の立場をフルに生かしてあらゆる外交問題に首を突っ込んできた。それとは対照的に、EU加盟国の持ち回りで1月に議長を引き継いだチェコのミレク・トポラーネク首相は、目立った行動をしていない。
それどころかトポラーネクは国内で大きな危機に陥り、EUを率いている場合ではなくなってしまった。3月24日に自国の議会で自身への不信任案が可決されたのだ。首相は既に辞表を提出した。EU議長の任期は今年6月までだが、任期途中で議長が交代せざるを得ない事態になっている。
EU内には以前からチェコの議長国としての資質を疑問視する声があった。最近では経済危機のなか保護主義的な政策を打ち出すフランスと対立。議長国としての危機対応能力に疑問符が付いた。
EUにリーダーシップをもたらすには、国に縛られずに強い権限が振るえるEU大統領ポストの新設が必要とされる。だがチェコは、大統領ポストの新設を定めたリスボン条約をまだ批准していない。
条約批准の前に立ちはだかっているのは、EU嫌いで有名なバツラフ・クラウス大統領だ。批准には大統領のサインが必要だが、クラウスは昨年の国民投票で批准を否決したアイルランドより先に認めることはないと言い張っている。
トポラーネクの後任の首相は大統領が指名する。議長国としてリーダーシップを発揮する人物を選ぶのか、そもそもEUを主導する気があるのか。首相辞任で恥をさらしたチェコだが、おかげで議長国持ち回りの問題が浮き彫りになったのも確かなようだ。
[2009年4月 1日号掲載]