最新記事

ダニエル・ルベツキー(アメリカ/平和創造)

社会起業家パワー!

社会貢献しながら利益も上げる
新世代のビジネスリーダーたち

2009.10.13

ニューストピックス

ダニエル・ルベツキー(アメリカ/平和創造)

異教徒が一緒につくるスパイス

2009年10月13日(火)11時36分
マルコム・ビース

 対立する民族や国家の橋渡し役になることは、ホロコースト(ナチスのユダヤ人大虐殺)生存者の子供であるダニエル・ルベツキー(39)にとって、子供時代からの夢だった。その思いは、大学在学中や卒業後に中東や日本などで暮らした経験を通じて、ますます強まった。

 さまざまな人種や宗派の人と共同で加工食品や調味料を生産するピースワークス社を設立したのは94年。「(理念は)市場の力で懸け橋をつくること」だと、ルベツキーは言う。「一緒にビジネスをすることによって、信頼関係を築き、お互いの人間性に触れていく」

 しかし、まだめざましい成果をあげているとは言いがたい。これまでに成功したプロジェクトは、インドネシアのヒンドゥー教徒とイスラム教徒と仏教徒が一緒につくるスパイス、アラブ人とユダヤ人が共同でつくるペーストなど、3件だけ。ビジネスを社会貢献の理念と結びつけようという試みは、「いつも多くの緊張を生み出してきた」と、ルベツキーは言う。

 それでも、最新の4つ目の商品であるヘルシー志向のスナックバー「カインド」は、アメリカやドバイ、イギリス、メキシコなどで好調な売り上げを記録している。利益の5%は系列の財団に寄付されて、中東で民族の平和的共存を後押しするために用いられる。

 この成功に勇気を得て、ルベツキーは自分たちの活動がいつか実を結ぶと信じている。平和を築くには時間がかかって当然なのだ。

[2007年7月18日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

輸出規制厳格化でも世界の技術協力続く=エヌビディア

ビジネス

ラトニック氏の金融会社がテザーと協議、新たな融資事

ビジネス

米、対中半導体規制強化へ 最大200社制限リストに

ワールド

ヒズボラ、テルアビブ近郊にロケット弾 ベイルート大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中