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戦うニッポンを作家は愛する
第二次大戦に負けた日本が復讐に燃える
小説の世界では、戦争に負けた日本の復讐は格好のテーマになる。憎きアメリカに恨みを晴らそうと、コンピュータを破壊したり、殺人ウイルスをばらまいたり。
世界的な人気作家トム・クランシーも、この題材を手がけている。94年に発表した『日米開戦』(邦訳・新潮文庫)で題名どおり両国を再び戦わせ、日本の航空機を米議事堂に突っ込ませている。
だが、ピーター・アルバーノの『第七の空母/真珠湾突撃作戦』(徳間書店)ほど、とんでもない作品はない。83年、氷河に42年間も閉じ込められていた大日本帝国海軍の空母「米賀」が、地球温暖化の影響で出撃可能になるのだ。
年老いた軍勢は、当初の目的地であるハワイの真珠湾に向かい、奇襲を仕掛ける。かろうじて救出されたアメリカの退役軍人は、精神病院にほうり込まれたような気がすると言う。読んでいるこっちだって、頭が変になりそうだ。
『第七の空母』はシリーズ化され、全9巻も出版された。『地中海進撃作戦』では米賀がリビア海軍から世界を救う。こんな奇想天外な物語が、なぜこれほどの人気を得たのだろう。老兵は死なずというが、こんな兵隊は「解凍」してほしくない。
[2005年5月18日号掲載]