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2009.08.03

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『М:I‐2』

2度目の成功はインポッシブル?

2009年8月3日(月)12時59分

 トム・クルーズがマスクをはぎ取ると、別人が現れる──なかなかクールな仕掛けだ。次に、ある登場人物がマスクを引きちぎると、その正体はトム・クルーズ──まだ、スリルは感じる。

 だが、同じ仕掛けが何度も続くと、怒りが込み上げてくる。これは『フェイス/オフ』の続編か!!

 いや、そのほうがまだよかった。あの映画こそ、ジョン・ウー監督の真骨頂。痛快なまでにばからしく、ばからしいほど痛快だった。だが『ミッション・インポッシブル』の続編『М:I‐2』は、どうにも退屈。鏡の迷宮のように複雑だった前作の筋立てさえ、今となってはいとおしい。

 オープニングは『007』もどきのド派手な演出。しかし、そんなお遊びはクルーズの情熱的な演技にも、華麗なアクションシーンにもふさわしくない。激しいカーチェイスも使い古しのスリルでしかない。

 と思うと突然、クルーズがアクロバットの才能を発揮して空中高くジャンプし、敵を蹴散らす。なんだか妙だ。ウーは、香港アクションをまねた『マトリックス』の白人監督をまねている。そもそもウーこそ、このスタイルの第一人者だったのに。だが今回は詩的なまでの緊迫感がなく、誰もが操り人形のように動くだけだ。

[2000年7月 5日号掲載]

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