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転落の構図
世界最大のGMも陥落へ
米自動車20年間の勘違い
「GMはとても順調だ」
業績悪化で破産申請の噂まで流れ始めたGMのワゴナー会長、ついに反論
ゼネラル・モーターズ(GM)の会長兼CEO(最高経営責任者)リック・ワゴナー(52)は、試練の時を迎えている。昨年の赤字は106億ドルに達し、販売台数世界ナンバーワンの座をトヨタに奪われようとしている。ワゴナーは、まさにデトロイト凋落の象徴だ。
彼も必死だ。十数カ所の工場を閉鎖し、全米自動車労働組合(UAW)加盟の全従業員11万3000人を対象に早期退職制度を導入すると発表。ガソリン高の逆風にもかかわらず、新しいSUV(スポーツユーティリティー車)を投入して大逆転をめざすという。
先週、さらなる試練が襲いかかった。SEC(米証券取引委員会)に提出した年次報告書の中で、過去数年分の業績を修正した。企業会計に対するGMの取り組み姿勢に疑問が投げかけられた。
3月31日には、経営破綻した元子会社の自動車部品メーカー、デルファイが、労働組合との労働協約破棄などを含む再建計画を裁判所に提出した。労使交渉が難航して大規模なストライキに突入すれば、GM本体が破綻に追い込まれかねないと、アナリストはみる。
経営陣への批判が高まるなか、ワゴナーがついに反論に出た。本誌デトロイト支局長キース・ノートンの取材に対して、現在の再建計画を擁護する論陣を張った。退任して外部の人材に舵取りを任せるべきとの意見も一蹴した。
──あなたの仕事上の立場は、どれほど危ういのか。
まったく心配はない。結局、実績が評価されるとわかっているからだ。われわれが問題に取り組んだか、チャンスを生かしてきたかどうかが評価される。どちらとも前進している。はっきり言って、とても順調だ。だから私は自信に満ちあふれている。
──あなたはGM文化に染まっているから徹底的な改革を指揮することはできないとして、新しい血を求める意見もある。
短絡的にすぎる。今ある問題は、80年から90年も歴史をさかのぼるような複雑な問題だ。よそから来た人間が、われわれのビジネスを理解してディーラーや組合と協力して問題に取り組むなど、ほとんど不可能だ。
──最近の新聞は、あなたの批判ばかりだ。読んでいるか。
写真は見ている(笑顔で)。もちろん、主な新聞にはすべて目を通すが、正直なところ、じっくり考え込んだりはしない。
──いちばん悩ましい記事は?
われわれが問題に取り組もうとしていないと言われることだ。それには、こう聞き返したい。「医療費150億ドル(削減)に12工場(閉鎖)、3万人(人員削減)、人員の自然減計画、有給従業員の医療費と退職金(削減)、販売とマーケティングの新戦略に生産計画。これらのどこをみて、緊急性を意識していないと言うのか」と。