「習近平版文化大革命」の発動が宣言された――と信じるべきこれだけの理由
過去の言論で文化人を断罪する「文革手法」
芸能界での文化大革命の開始と同時に、言論界に対する統制と粛清もより一層厳しくなってきている。
8月27日、国内のネット統制を主な任務とする国家インターネット情報弁公室が通達を出し、経済政策や経済問題に関するネット上の情報発信と批判を厳しく取り締まる方針を示した。通達によると、今後はネット上で「政府の経済政策を歪曲したり、中国経済衰退論を唱えたり、海外の中国経済論評を無批判に流布したり」する発言や論評は取締りの対象となる。
中国共産党政権下では、党と政府の政策方針に対する政治的批判は以前から御法度であるが、鄧小平時代以来の数十年間、経済問題に関する議論はおおむね自由で、建言という立場からの政府の経済政策に対する批判は基本的に許されていた。しかし、今後は経済問題に関する批判的言論までがネット上から一掃される。あらゆる領域で「1つの声」しか許されない、という文革大革命時代が戻ってくるような雰囲気である。
この通達に先立って、ネット上の著名文化人の1人が封殺の対象となった。有名歌手・作曲家・音楽プロデューサー・作家の高暁松は、2014年から2017年までの数年間、「暁松奇談」というネット番組を持っていた。天文地理や歴史・文化などの幅広い領域の話をネタにしたトークショーで、当時大変な人気を博して最近までよく視聴されていたが、8月27日の段階でこの番組の全ての映像がネット上から消えていることが判明した。
そして8月28日、中国社会科学院所属の中国歴史研究院が長文の批判文を掲載し、高暁松が上述の「暁松奇談」で行った過去の「問題発言」を掘り返し、厳しく批判した。高がアメリカやインドの民主主義を称賛した発言や抗日戦争における蒋介石の功績を肯定した発言が取り上げられているが、上述の中国歴史研究院の批判文は、こうした言論を1つ1つ引っ張り出して高の「6つの罪」を列挙して断罪した。
かつて文革大革命を体験した中国人なら、この批判文を読んで背筋に寒さを感じるはずだ。人の過去の発言を掘り出して「5つの罪」「6つの罪」と断罪するのは、まさに文化大革命時代に流行っていた「革命批判」の手法そのものだからだ。
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