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風刺画で読み解く中国の現実 Superpower Satire (CHINA)
プーチンに「熱狂」し、ウクライナ侵攻を「手本」と見なす中国人の心理
©2022 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<中国ネット空間にはロシアを応援したり、プーチンを熱烈に支持する投稿が溢れる。中国政府にとっても、ロシア批判を許すことはできない状況だ>
「プーチン支持者が最も多い国はロシアではなく中国だ」
開玩笑(冗談)ではない。国連総会のウクライナ侵攻非難決議で中国政府は棄権したが、中国ネットでロシアやプーチン大統領を応援する投稿が大量に発生した。
経済制裁下のロシアを支援するため、中国の電子商取引(EC)サイトではロシア製品の爆買いが広がった。北京市内の在中国カナダ大使館が「われわれはウクライナを支持する」と中国語で記した看板を掲げると、その上に「FUCK NATO」と英語で落書きされた。
ロシアの電撃戦が停滞しているのはウクライナの必死の抵抗ではなく、「プーチンが手ぬるいから」だという投稿や、「この70歳(実際には69歳)の男を心がうずくほど愛している」という、プーチン宛ての中国語の愛の告白もあった。
強権崇拝と、特別な親近感
秦の始皇帝から始まりジンギスカン、毛沢東、ウサマ・ビンラディン、そしてプーチン。今の中国には彼らの熱狂的信者がいる。強権崇拝の伝統がロシア支持の理由の1つだろう。
もう1つは、かつての中ソ関係だ。1950年代生まれの中国人は青春時代にロシア語を勉強させられた。ロシア文学はこの世代の人たちにとって唯一許された異国文化で、彼らは今でもロシアに特別な親近感を持っている。
1953年生まれの習近平(シー・チンピン)国家主席もこの世代に属する。だから今の中国政府はロシア寄りなのだと考えられる。
もちろん、イデオロギー教育の成功の結果でもある。幼い頃から「台湾は中国の一部」という教育を受ける人々にとって、ロシアのウクライナ侵攻は中国による台湾武力統一の手本と見なせる。今日のウクライナは明日の台湾。大半の中国人は「政府の立場はわが立場」だから、ロシアを支持する。
ロシアは過去、中国領土を奪い取ったこともある。歴史に詳しい中国人がその侵略の過去をネットに投稿しても、すぐに削除される。ウクライナ侵攻に対して、中国の学者が国際社会と同じく非難の声を上げても、ブロックあるいは告発される。
中国政府がロシアやプーチン批判を決して許さないのは、もちろん友情のためではない。「永遠の友人はいない、永遠の国益しかない」と信じるからだ。
ポイント
中ソ関係
同じ社会主義・共産主義国として友好関係にあったが、1956年のフルシチョフによるスターリン批判を契機に、中ソ両国が「修正主義」「極左冒険主義」と互いを罵倒する論戦に発展した。
「永遠の友人はいない、永遠の国益しかない」
19世紀の英首相パーマストンの言葉。全文は「英国は永遠の友人も持たないし、永遠の敵も持たない。英国が持つのは永遠の国益である」。
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