コラム

トランスジェンダーは男女どちらで参加すべき? 性別と五輪をめぐる建前と本音

2021年08月24日(火)15時00分

この瞬間、具体例が抽象論を脅かし、筆者の偽善があらわになった。実は高校時代、ルームメイトの父親がアメリカ女子代表サッカーチームの監督をしていた。

さらに現在執筆中の本のために、その後任の監督に長時間インタビューを行い、いろいろと調べた。こうして私はアメリカ女子サッカーチームの圧倒的成功を強く願う熱狂的ファンになった。実際、あるセミナーでは「アメリカ女子サッカーは絶対に負けない」と冗談交じりに言ったこともある。

しかし、東京五輪のアメリカ女子チームは金メダルを獲得したカナダに準決勝で敗れ、銅メダルにとどまった。カナダチームには、女性と男性両方のアイデンティティーを持つノンバイナリーの選手がいた。

私の最初の反応は──抽象的な一般論のときとは違っていた。負けたチームのファンは常に言い訳を探すものだ。

だが同時に、ジェンダーとスポーツという厄介な難問は良質な議論のヒントを与えてくれる。大切なのは、寛大な心で論争相手の立場を理解することだ。そうすれば、自分自身についても新たな発見があるかもしれない。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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