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「HELLO, OUR STADIUM」新国立競技場の妙な英語──これで東京五輪を迎えるの?
12月15日に報道陣に公開された新国立競技場(東京) Issei Kato-REUTERS
<12月15日、五輪の主会場となる新国立競技場が報道陣に公開されると、私は驚き、息をのんだ。あまりに英語の問題が多く見受けられたからだ>
2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、日本は世界のアスリートとスポーツファンを迎えます。その時、いかに上手く言語対応をできるかがポイントとなるでしょう。
しかし、12月15日に東京五輪の主会場となる新国立競技場が報道陣に公開されると、私はがっかりしました。英語の問題が多いということが分かったからです。
私はその場にいませんでしたが、数人のジャーナリストが現場から撮影し、ツイートしてくれたので、中の様子を見ることができました。ここで新国立競技場の「妙な英語」を紹介して、なぜそれが問題なのか、代わりにどう訳せばいいのかについて解説したいと思います。
建造物に挨拶することは可能か?
これを見て息をのんだ。 https://t.co/OTH5T7v27I
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) December 15, 2019
●HELLO, OUR STADIUM
私が最初に目にしたのは、五輪の本番で観客が新国立競技場に入るとき、最初に目にするであろう案内ディスプレイでした。それはファイナンシャル・タイムズの東京特派員が公開ツアーの最初の瞬間に見つけたものです。ディスプレイに表示された「HELLO, OUR STADIUM」を面白く感じた特派員が、その写真をツイートしたのです。
私はそれを見て、英語の不自然さに驚き、思わず息をのみました。最初に感じたのは、Welcome to our new stadiumとすればよかったのに、ということでした。
しかし、複数のフォロワーから、HELLO, OUR STADIUMは新国立競技場のオープニングイベントの名称で、実は競技場に来る人に挨拶するのではなく、観客目線でスタジアムに対して挨拶することが狙いなのだという指摘がありました。
建造物に挨拶するというのは私にとって想定外でしたが、確かに、ものを擬人格化するのは日本文化の特徴です。ネットフリックスの番組で、近藤麻理恵(こんまり)が訪問する家に対して挨拶しているのも、その文化の現れだと言えます。
とはいえ、もし新しいスタジアムに挨拶することを言いたいのだとしても、HELLO, OUR STADIUMという言い方はお勧めできません。「こんにちは、我々のスタジアム」というような感じで、自然な言い方ではないのです。Hello new stadium!のほうがまだ自然だと思います。
なお、@Teoidiomasさんが提案してくれたSay Hello to Our New Stadium.はとても良いと思います。スタジアムを訪れる人を対象にした言い方で、一緒にスタジアムに挨拶しようという呼び掛けのニュアンスになるので、自然で良い表現だと言えます。
HELLO, OUR STADIUMは日本人にとって理解しやすい英語のようですが、観客の中には外国人も多く含まれるので、皆にとって好感の持てる英語にすることを大切にしたほうがいいと思います。キャッチコピーを作るときには、そういった意識をぜひ持っていただきたいのが正直なところです。
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