- HOME
- コラム
- 街中英語のネイティブチェック
- 「We are so sorry for the …
「We are so sorry for the inconvenience」日本のホテルで見つけた妙な英語
まず元の日本語自体が論理的かどうかを考えて
ホテルのお風呂にある知らせ。日本語の訳としてOKですが、それは本当に言いたいことですか?これだと、この線までお湯を入れるべきとなっていますが、この線以上にお湯を入れないで下さいということを言いたいでしょう?それならplease do not fill above this lineの方がいいと思います。 pic.twitter.com/q8aXHXS97i
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) April 4, 2019
●この高さまでお湯を入れて下さい Please put the hot water up to this height
私が東京のホテルの部屋のお風呂で見かけた英語です。この英語は日本語の直訳として文法的には正しい表現です。しかし、よく考えると、言いたかったことは「この高さ以上にお湯を入れないでください」だと思われます。この表記だと、カップラーメンのようにここまでお湯を入れなければならないという感じになってしまいます。
Do not fill above this line.(この線以上に〔お湯を〕入れないでください)としたほうが望ましいでしょう。
翻訳をする時に、まず元の日本語自体が論理的かどうかをよく考える必要がある、ということの良い例だと思います。
「お手数をおかけします」は英語にしなくていい
この「お手数」からはじまる文章は、訳せなくてもいいです。混乱を招くだけです。 pic.twitter.com/YEChtPG1G2
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) January 12, 2019
●お手数をおかけしますが、上記の通りお願い致します。 We are so sorry for the inconvenience. Thank you very much for your cooperation.
これは九州で泊まったホテルの部屋の中にあったもの。夜の間、フロントデスクの内線番号が変わるというお知らせです(小さなホテルでしたので、夜はワンマン体制だったようです)。
日本語では、「お手数をおかけします」といった表現を使うことは礼儀の1つです。しかし、英語に直すと、それが過剰になる可能性があります。この英語を見る人は、違った内線番号を使うことがどんなinconvenience(手数)なのか、想像できないかもしれません。また、so sorryはとても強い言い方で、そんなに謝る必要があることなのかとも思われてしまいます。
そのため、ここで推薦したいのは、We are so sorry for the inconvenience.を完全にカットすることです。Thank you very much for your cooperation.だけでも丁寧さを示すには十分なはずです。
細かいところでは、TO THE GUESTより、TO OUR GUESTSのほうがいいでしょう。
最後に、何時から何時までどの内線を利用できるかを表している英語にはタイプミスがあるようです。ここでは内線11番は「朝10時から朝11時」だけの利用になってしまっています。校正を忘れないようにしましょう!
観光ブームの最前線に立つホテルで働く皆様、日頃より外国人旅行客への対応、本当にありがとうございます。この記事での指摘が少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
この筆者のコラム
「EXCELLENT WET PAPER」日本の商品パッケージで見かける奇妙な英語 2020.10.14
日本のコロナ危機が示した、機械翻訳依存の危うさと専門用語の日英「誤差」 2020.04.30
「Be Careful to Passage Trains」日本の駅で見つけた妙な英語 2019.09.13