- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 米セブンイレブンのホームレス対策は大音量クラシック
米セブンイレブンのホームレス対策は大音量クラシック
その一方で、ホームレスの存在を許容したり、彼らに対して距離を置きつつ保護するような政策を取っている都市もあります。こうした中で、ホームレスの人々は、排斥政策の都市から許容政策の都市に移動しているというのが現実です。ですから、ホームレスが可視化されているという場合は、どちらかといえば文化的、政治的にホームレスの存在が許容され、財政的にも保護が可能な都市だということが言えます。
その上で、タバコと宝くじを収益の柱とする24時間コンビニという業態は、ホームレスが事実上許容されている都市の場合は、深夜も明るい拠点として、ホームレスが滞留するスポットになりがちなのです。
それはともかく、同じ「大音量クラシック作戦」がLAでは効果があり、NYではなかったのは何故なのでしょうか? やや無責任な推測になりますが、LAの人々は、ポップ、ロック、ジャズといったアメリカ近代の音楽にプライドを持っているために、「大音量のクラシック」は自分のプライドを保つために「嫌う」のではないか、その一方で、NYの人々は生活の中にクラシックも存在していて、それこそ「クラシックでも踊れる」、そんなストーリーは描けそうです。
ホームレスの人々を「大音量のクラシックで追い払う」というのは、第一印象としては非人間的なイメージがありますが、特にNYのエピソードなどを考えますと(あくまで個別事例という可能性はありますが)全く救いのない話でもなく、これも一種の人間ドラマという感じは多少します。
その前提として、深夜にコンビニの明かりに寄ってくるホームレスの人々にしても、彼らを遠ざけるために「大音量のクラシック音楽」を流すオーナーの人々にしても、そもそもタバコと宝くじが主要な商品という業態にしても、日本のコンビニ文化とは全く別の世界がアメリカにあるのは事実だと思います。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
環境活動家のロバート・ケネディJr.は本当にマックを食べたのか? 2024.11.20
アメリカのZ世代はなぜトランプ支持に流れたのか 2024.11.13
第二次トランプ政権はどこへ向かうのか? 2024.11.07
日本の安倍政権と同様に、トランプを支えるのは生活に余裕がある「保守浮動票」 2024.10.30
米大統領選、最終盤に揺れ動く有権者の心理の行方は? 2024.10.23
大谷翔平効果か......ワールドシリーズのチケットが異常高騰 2024.10.16
米社会の移民「ペット食い」デマ拡散と、分断のメカニズム 2024.10.09