- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- トランプの「非核化」シナリオに深くコミットした安倍…
トランプの「非核化」シナリオに深くコミットした安倍首相
つまり、両者ともに解決は小出しにスローに進めなくてはならないという動機を共有しているわけです。これに韓国の事情も重なります。韓国は、ベルリンの壁が崩れた際の西ドイツのように北朝鮮を即時、吸収合併する国力はありません。ですから統一には時間が必要です。
中国にしても、緩衝国家である北朝鮮がすぐに消滅されては困ります。ロシアも同様でしょう。北朝鮮は西側との経済交流が限られているからこそ、ロシアは安い労働力として北朝鮮の出稼ぎ労働力を使えているという面もあります。
とにかく、この時間という問題は大切です。即時ではなく、時間をかけて核放棄を行う、同じように時間をかけて政権崩壊を避けながら経済を拡大してゆく、そして要所要所で成果をアピールするという「スローなペース」ということ、そしてこのペースに関係するプレーヤー全員が了承して参加するということになった、今回の合意はそのように理解することができます。
日本の安倍政権のコミットメントですが、何よりも核放棄のコストを韓国とともに負担するというスキームが興味深いと思われます。ちなみに、このコスト負担ですが、トランプ側から強制されたものではなく、今回のシンガポール会談の前に、河野太郎外相から「IAEA(国際原子力機関)による査察費用を負担してもいい」というメッセージは発信されていたわけですから、日本としては自発的に提案しているアイディアと理解していいと思います。
どこが興味深いのかというと、例えば、同じコスト負担にしても戦後補償に見合うカネを渡すとなると、それと拉致被害者の調査・帰国がバーターになっているというのは、日本に取って受け入れが難しい話になります。犯罪行為の被害者を取り戻す話と、過去に関する補償とを一緒にすることになるからです。
一方で、仮に査察費用を負担するというのであれば、心理的にはるかに受け入れやすいし、日本の元外交官である天野之弥氏が率いるIAEAの応援にもなります。また、韓国が日本と同列で「一緒に同じ目的の費用を負担する」という位置付けになるのも、日韓関係から考えると良いアイディアであると思います。
しかしながら、このスキームにも大きな問題があります。拉致被害者を含む人道問題の救済というのは、一刻も早い解決が必要です。それが、政治的に設定された核放棄の「スローなペース」とシンクロするようでは困ります。ここは日本や韓国から見た場合、このスキームの難所ということになります。日韓がより協調しながら進めるだけでなく、必要があれば日朝直接交渉を行う必要もあるのは、そのためということになります。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険 2025.01.15
日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で勝負すればいい 2025.01.08
日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落 2024.12.25
日産とホンダの経営統合と日本経済の空洞化を考える 2024.12.18
医療保険CEO銃殺事件が映すアメリカの現在 2024.12.11
二期目のトランプと「現実世界」を繋ぐのは誰か? 2024.12.04
日本とアメリカの現状否定票、その共通点と相違点 2024.11.27
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員