コラム

内容は腰砕けだった、オバマの「銃規制案」

2016年01月07日(木)17時00分

 さらに、本来であれば議会を動かして法案を成立させて実施すべき規制策を、議会では「絶対に通らない」からということで、大統領令(エグゼクティブ・オーダー)で済ませたというのは、逃げ腰と言われても仕方がないと思います。

 ちょうど大統領選の予備選が進行する中で、これに対して共和党の各候補からは一斉に反発の声が上がっています。特に「大統領令」で規制を行ったことに対しては「ヒトラーのような強権だ」とか「自分が大統領になったら初日に破棄する」などという激しい言葉で罵倒されています。

 反対に、民主党の側は大統領の立場に理解を示して、銃規制を推進するという立場を取っていますが、選挙戦でどこまで真剣に銃規制を訴えることができるかどうかはわかりません。

 いずれにしても、今回の会見と「大統領令」の発令で、おそらくオバマ政権としての「銃」への取り組みは「終わり」になると思われます。だとすれば、その成果は極めてお粗末だったとしか言いようがありません。とてもオバマの「レガシー(遺産)」になるような話ではないのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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