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冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
奇跡の舞台、蘇るマイケル・ジャクソン
一夜の舞台で、ここまで心躍り、心震える経験というのはそうあるものではありません。
昨年の製作発表から色々と噂になっていた、カナダのスーパー・サーカス劇団(というしかないと思いますが)「シルク・ドゥ・ソレイユ」と故マイケル・ジャクソンの遺産管理財団の共同制作によるパフォーマンス『不滅のマイケル・ジャクソン』が北米巡業を開始したのです。
私は4月10日のフィラデルフィア公演(2日間の初日)を観る機会があったのですが、収容約1万5千人のウェルズ・ファーゴ・センター(バスケの76ersとホッケーのフライヤーズの本拠地)は満員でした。恐らくはマイケルと共に人生を過ごしてきたという感じの、やや高めの年齢層を中心とした観客は物静かで、何となく宗教的なものを感じさせました。
このショーに関しては、今年2012年をかけて北米ツアーが進行し、同時にラスベガスでの常設のショーが別内容で立ち上がる一方で、ツアーの方は2013年にはヨーロッパに行くことになっているようです。日本への巡業は現時点では未確定ですが、十分に可能性はあると思われます。
内容が内容だけに、これから北米でのツアーを鑑賞に行く方もあるかもしれませんので、いわゆる「ネタバレ」は厳に慎みたいと思います。例えば『スリラー』のパフォーマンスは素晴らしかったのですが、どんな色を基調にしていたのか、そこにどんなメッセージを乗せていたのかをここでお話するのは適当ではないと思われます。
とにかく、マイケルの音楽とシルク・ドゥ・ソレイユの芸術に昇華したアクロバット・ショーが完全に融合しており、死してなおその魂は不滅という印象を強く残すショーだったことは間違いありません。
1つだけお話してしまうと、マイケルのイマジネーションの「王国」としての「ネバーランド」という概念があるわけですが、このショーを通じて何度かこの「ネバーランド」の門が登場するのです。そのことは、このショー自体が様々な意味合いを持っていることを示唆しているように思うのです。
まず強く感じさせられるのは、マイケルが夢見た理想のコンサートツアーを、マイケル不在のままではあっても、このツアーが実現しようとしているという意味です。
また、基本的にはサーカス仕立てのこのショー自体が、マイケルの夢想した「ネバーランド」の実現という意味合いを持ってくるということもあります。
結果的に、マイケルは不在であるのに、却ってマイケルの存在感が増すという奇跡をこのショーは達成しているように思われるのです。そのことは、印象的なエンディングにより確信に変わります。
ショーに関しては、とにかく見ていただきたいというしかないのですが、今回のパフォーマンスを見て感じたのはマイケル・ジャクソンが、ある強烈なメッセージを残して去っていったということです。
それは「成熟を拒否する思想」ということです。
人はこの世に生まれ、一旦は世界とケンカをし、やがて世界と和解して世界の中で活動し、やがて自分にはできることは少ないという諦念に入りつつ世界からフェイドアウトするように去って行く・・・それが古典的な意味合いでの成熟であるならば、マイケル・ジャクソンという人はその「成熟を拒否」したまま永遠の存在になってしまったのです。
それは童心を大事するとか、環境が大事だとか、平和のメッセージを訴えようというような個別の思想の断片ではないように思います。そうした断片的なものではなく、トータルな世界観としてあくまで成熟を拒否し、一直線に自分の信じる方向性を走りぬいたということです。今回のシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスは、その「成熟を拒否する思想」を見事に一晩の舞台にまとめあげていた、そう言って構わないのだと思います。
死してなお、人々に対して「成熟を拒否する」思想を訴え続けている、このツアーのタイトルにもなっている「イモータル(不滅の、不死の)」というのは、そういうことなのです。日本公演の一刻も早い正式決定を切に望みます。
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