コラム

美味しすぎてマズイ、ふるさと納税のカラクリ

2016年02月02日(火)16時37分

 同じように、ふるさと納税で寄付している一般の国民には非はない。こんなに美味しい制度があれば、利用しない手はないでしょう。でも、このままだと国民の税金に対する概念が歪んでしまいそうな危惧がある。「素敵な景品がもらえるから税金を納めるものだ」という考え方になったら、何ももらえないと納税したくなくなるかもしれない。「チョコレートをくれないと、歯磨きをしない」と、だだをこねていた、ちょっと前の僕の子供みたいになるかもね。

 政府は学校、道路、警察、消防などを提供している。当然だ。僕らはそのために税金を納めている。でも、さらにその上に景品を用意する必要はないはず。地方に税収を分配することも、その行き先を国民に決めさせることにも賛成だ。それなら「自分の住民税の何割をどこに送りますか」という一行を確定申告や年末調整の書類にに入れるとか、マイナンバーのホームページから寄付先を登録できるようにするとか、簡単なシステムでいいはず。

 管理費が下がれば、自治体が公的サービスにかけるお金が増える。その分インフラ整備、教育の強化を図ることができる。さらに企業の誘致などに努めれば、各地の地元産業も得するはず。そして、僕らは景品に頼らず、各地の素敵な名物が欲しければ、買えばいい。十勝ハーブ牛は税金控除がなくても本当に美味しいはず。

 これはあくまでも僕一人の意見だ。大事なのは国民の議論。ぜひ近くの人と論じ合ってみてください。僕も先日ホームパーティーを開いてふるさと納税について夜遅くまでみんなで丁々発止したのだ。もちろん、ふるさと納税の景品をいただきながら! 実際に利用してみなくちゃ、何も言えない。

 越前ガニもフグ刺しも日本酒も大変美味しかったです。東京都、ご馳走さまでした!

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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