最新記事
シリーズ日本再発見

きものに今年こそ挑戦! 「宝尽くし」「亀甲つなぎ」...お正月にふさわしい柄とは? 基礎知識を解説

2024年01月01日(月)09時00分
原由美子(スタイリスト)
きもの

『原由美子のきもの暦』より 写真はすべてジョン チャン撮影


<柄、文様、帯の組み合わせで日本の四季を彩る...。きものに造詣が深い、スタイリストの先駆者・原由美子氏がいまこそ伝えておきたいきものの楽しみとは?>


洋服感覚で無地のきものをすっきり着るのもいいけれど、柄と柄を組み合わせるきものならではの魅力もぜひ知ってほしい...。そんな原由美子氏の思いを『原由美子のきもの暦』の「睦月」の章および『原由美子のきもの上手 染と織』(ともにCCCメディアハウス)から一部抜粋。


◇ ◇ ◇




お正月の楽しみのひとつは家できものを着て過ごすことでした。小学生の頃ですが、日舞の稽古着として持っていた赤地に手鞠柄の銘仙のきものを着せてもらい、ちょっと上等な帯を母に文庫に結んでもらった記憶があります。(中略)

洋服の場合は赤を初めとする派手な色は、むしろ年齢がいってからこそ着やすくなります。でも型はみな同じで素材が絹のきものは、そうはいきません。すっきり粋に地味なきものを着るのは、いくつになってもできることです。お正月にきもの始めというなら、華やかさを楽しんでこそという思いがあります。

お正月 おめでたい柄の小紋で、新春を寿ぐ華やかな装い。


お正月の三が日から十五日くらいの頃、初詣に行くと目にするのは、ここぞとばかり華やかな振袖姿。今年成人の人たちだなと、つい見とれてしまいます。でもせっかく振袖を自分のものにしても、成人式のときだけ袖を通し、あとはずっと簞笥のなかという話をよく耳にします。

振袖のかわりに、大きめの文様の華やかな小紋もいいものです。最近は若い人が地味なきものを着ることが多いようですが、年相応の色と柄に挑戦してみてください。こういう小紋だけは若いときだけに着るのを許されたもの。お正月を前に何かきものを、という人にぜひ着てほしいのです。


1213-2400-720.jpg


左=慶長文様の小紋+花菱文の京袋帯

京友禅独特の慶長柄は、江戸初期の慶長期に見られる写実模様と幾何学柄が組み合わされた独特の華やかさが特徴。小紋に分類されますが、大胆で華やいだ雰囲気があり、訪問着と同格で装うことも。そんなときは格調のある柄の京袋帯を締めて。慶長柄でも比較的抑えた色調なので、帯により長く着られるのも魅力です。

右=小紋+霞模様の袋帯

単色、小さめの柄の小紋とは異なり、このくらい大柄で多色な小紋は、若いときにぜひ着ておきたいきもののひとつ。格調ある袋帯を締めれば訪問着と同じくらいの格と華やかさが出るので、若い人らしいハレの装いに。また洋式のパーティなどでは訪問着より映えることも。無地感覚の名古屋帯でスッキリ着れば気軽な外出着としても楽しめます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店

ワールド

ロシア、石油輸出施設の操業制限 ウクライナの攻撃で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中