『TOKYO VICE』主演アンセル・エルゴート、毎日10時間の日本語特訓、記者修行を明かす
Deep in Tokyo’s Underworld
新聞記者のエーデルスタイン(左)は片桐(右)の助けを借りて組織犯罪にメスを入れ、やがて命を狙われる PHOTOGRAPH BY COURTESY OF HBO MAX
<90年代の日本を舞台にした、話題の日米合作クライムドラマ『TOKYO VICE』。主演のエルゴートと渡辺謙が作品に懸けた情熱を本誌に語った>
実在のアメリカ人記者を演じるに当たり、アンセル・エルゴートはジャーナリズムの世界にどっぷりつかった。
その作品とは、日本のWOWOWとアメリカの動画配信サービスHBO Maxがタッグを組み、マイケル・マン監督が製作総指揮を務めた『TOKYO VICE(トウキョウ・バイス)』(4月24日からWOWOWで独占放送)。
1990年代に読売新聞に勤務したジャーナリスト、ジェイク・エーデルスタインの回想録『トウキョウ・バイス:アメリカ人記者の警察回り体験記』(アマゾンキンドル版)を映像化するクライムサスペンスだ。
『きっと、星のせいじゃない。』『ベイビー・ドライバー』に、最近では『ウエスト・サイド・ストーリー』。次々と話題の映画に主演してきたエルゴートにとっては、初めてのテレビドラマとなる。
「日本が舞台の作品に関わりたいとずっと思っていた」と本誌に語るエルゴートは、出演を検討した際に気になることがあった。大御所監督である、マン(『コラテラル』『インサイダー』)の仕事ぶりだ。
「『ウエスト・サイド・ストーリー』の撮影中だったから、スティーブン・スピルバーグ監督にマンはどんな人かと聞いてみた。俳優のジェイミー・フォックスにも聞いた。すると2人から同じ答えが返ってきたんだ。マンは役者をめっちゃしごく。だが怠けず、とにかくがむしゃらに働く気でいれば、きっとうまくいくって。がむしゃらに働くなら任せてくれと思った」
エーデルスタインは日本で大学を卒業して記者になり、裏社会の取材にのめり込んで暴力団に命を狙われた人物だ。彼を演じるならば、まず日本語に堪能でなければならない。撮影が始まれば、数カ月間東京で暮らすことになる。
こうして日本語づけの生活が始まった。エルゴートは毎日10時間日本語を特訓し、合気道を習いだしてからも4時間を語学に割いた。日本語だけでなく、仕事も学ぶ必要があった。マンはエルゴートを日本に送り出す前に、ロサンゼルスで記者の訓練を受けさせることにした。
役作りで張り込みも体験
エルゴートが任されたのは、警察の捜査報告を基にした取材だった。
「強盗がナタを手に自動車部品店に押し入るという事件が起きた」と、彼は言う。「男は店を出るとファストフードのドライブスルーで車を盗んで逃走し、衝突事故を起こして車を乗り捨て、最終的に警察に射殺された」
エルゴートは「広い視野から事件を捉え」ようと、犯人の地元を訪ねた。
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