ラグビーW杯で考えさせられる、日本の「おもてなし力」
とはいえ、「禁煙トレンドに遅れた対応」などとラグビーW杯会場の喫煙方針を批判する声もあり、スポーツ施設における喫煙所の存在、喫煙者と非喫煙者の共存は、議論を呼ぶトピックだ。運営する東大阪市はどう考えているのか。市職員でもある、花園ラグビーワールドカップ2019推進室の奥井幸史さんはこう話す。
「市としては、今後の法律の改正や社会情勢の変化に対応していく必要があると考えています。(今後開催される)大会主催者の意向により、喫煙所を使用しない場合は閉鎖するなどの運営も行っていく予定です」
来年の東京五輪では、IOC(国際オリンピック委員会)がWHO(世界保健機構)と合意した「たばこのないオリンピック」を実現すべく、大会期間中は競技会場敷地内の全面禁煙化を決定している。加熱式たばこや電気たばこも同様に規制対象であり、競技会場にもともと喫煙所があっても閉鎖される見込みだ。
しかし、同様に敷地内完全禁煙を実施した昨年の平昌冬季オリンピックでは、会場周辺での路上喫煙が蔓延し、吸い殻のポイ捨てが横行。吸い殻を排水溝やゴミ箱に捨てる人もいたと報道され、東京でもそうした事態が心配されている。
難しい問題だが、ラグビーW杯組織委員会は完全禁煙にしなかった理由について、このような方針を説明している。
「われわれの果たすべき役割は、さまざまな文化的背景を持つ世界中の国や地域から集まるお客様に快適な観戦環境を提供すること。そのために重要なのは、非喫煙者に配慮した上で必要な分煙処置を準備し、周知徹底すること」
受動喫煙対策を講じた分煙か、それとも完全禁煙か。いずれがベターな「おもてなし」となるのか、注目されるところだ。