最新記事
シリーズ日本再発見

日本はいま「○○レス」の時代!? 本来あるはずのものがないモノたち

2019年08月20日(火)11時00分
高野智宏

嗜好品のたばこには「タールレス化」の波

コーヒー同様、嗜好品であるたばこも、実は「○○レス」と無縁ではない。それが「タールレス化」したたばこだ。

まだ市民権を得た言葉ではないが、2014年から登場し、最近人気を博している加熱式たばこ――Ploom(プルーム)、IQOS(アイコス)、glo(グロー)の3ブランドがしのぎを削っている――はまさに、技術革新により「レス化」した製品と言えるだろう。

そもそも「タール」と言われてもピンと来ない人もいるかもしれないが、たばこは燃やすとタールが発生する。このタールには身体に害を与えるとされる成分が多く含まれているが、加熱式たばこはたばこ葉を燃やさないため、燃焼に伴うタールが発生しないというわけだ。

加熱式たばこは紙巻きたばこに比べ、健康懸念物質を90%以上カットすることに成功。高温加熱型のIQOSやgloでは90%以上、低温加熱型のPloom TechとPloom Tech+にいたっては99%がカットされるという。

現在、日本の喫煙者の約2割が加熱式たばこユーザーとされているが、加熱式たばこへ移行する理由は「タールレス化」に限らないようだ。もう1つ、大きな要素となっているのが「においレス」である点だ。

JTのPloom製品サイトによれば、紙巻きたばこのにおいの強さを100%とした場合、IQOS、gloと同様の同社の高温加熱型製品であるPloom Sで5%未満だという。一方、低温加熱型のPloom TechとPloom Tech+では、1%未満という数値を実現。もちろん、洋服へのにおい移りも極めて低くなることは明らかだ。

AV製品に家電、食品に嗜好品まで――。そのいずれもが、ないことで時間に余裕が生まれたり、健康的だったりとプラスに転換しているように思える。

「○○レス」が進む未来、それは決して何かを失う未来ではなく、豊かな人生を送るために何かを得る未来なのかもしれない。

japan_banner500-season2.jpg

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中