最新記事
シリーズ日本再発見

サブスクリプションに刷新、「少年ジャンプ」英語版が挑むアメリカンドリーム

Jumping to a New Format

2019年01月25日(金)15時00分
スティーブン・アサーチ

『僕のヒーローアカデミア』はアメリカでも人気(少年ジャンプ英語版のサイト)©VIZ MEDIA

<日本アニメ・漫画の人気拡大に大きな役割を果たしてきたShonen Jumpが、安価な会費制サイトに。作家への確実な還元も狙う>

アメリカにおける日本アニメ・漫画の人気拡大に大きな役割を果たしてきたのが漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」の英語版だ。電子版のみの展開ながら、『ドラゴンボール』や『ONEPIECE』、最近では『僕のヒーローアカデミア』などの作品がファンの支持を集めてきた。

発行元のビズ・メディアは2018年12月、少年ジャンプ英語版の購読システムを刷新した。今後は1カ月1.99ドルの会費で最新号と1万話を超える過去の連載を読むことができる。

「人々の心を揺さぶる優れた物語は、常に時代とともにあった。だが今、われわれがやろうとしているフォーマットの変更は、まさに時代に即したものだ」と、少年ジャンプ英語版のアンディ・ナカタニ編集長は言う。「(海賊版でない)公式版の漫画をもっと多くの人に届けたい。作り手がきちんと対価を得られる形で」

英語版の電子化が始まったのは2012年。2013年からは日本での発行と同時に公開できるようになり、英訳される作品も増えた。

ナカタニはこれまで、どの作品を英訳し掲載するかの選択に関わってきた。「私たちはいつも、読者を世界に引き込むようないい物語を探している。人気が出る可能性があり、うちの読者に合うものでなければならない」と彼は言う。

将来的には、日本の週刊少年ジャンプに掲載されている作品のほとんどが英訳され、インターネットで読めるようになるはずだ。「そうなったら、私の意思決定権はずっと縮小するだろう」とナカタニはジョークを飛ばした。

これまでは年間定期購読者を集めるために『遊☆戯☆王』トレーディングカードのプレゼント特典を用意していたが、安価な月額制に移行することでこの「切り札」は使えなくなる。だが、今後についてナカタニは楽観的だ。

「今この瞬間が楽しい」と彼は言う。「少年ジャンプが新しいフォーマットになり、私たちを(新たな世界へと)連れて行ってくれる可能性を目にするのは本当にわくわくする」

<2019年1月15日号掲載>

japan_banner500-season2.jpg

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 2人負

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が

ビジネス

独VW、リストラ策巡り3回目の労使交渉 合意なけれ

ビジネス

日産、米国従業員の6%が早期退職に応募 12月末付
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中