日本の加熱式たばこは「ガラパゴス市場」か「テスト市場」か
日本ではニコチンが医薬品成分に指定されており、厚生労働省の認可が必要。ハードルが高いため液体ニコチンを使う電子たばこが実質的に販売できず、それゆえの加熱式たばこ人気というわけだ。
野村證券によれば、加熱式たばこは2017年に日本のたばこ市場全体の12%を占めていたが、18年には24%強へと倍増、19年は29%程度になると見込んでいる。急速に普及した要因は、電子たばこという選択肢がないことだけではない。「ここまで加熱式たばこが人気となったのは、においや副流煙で周囲の人に迷惑をかけたくないという周りに配慮する日本人の国民性、そして新しい物好きという国民性も理由だろう」と、藤原氏は言う。
要するに、紙巻きたばこから新型たばこへという世界的な潮流があるなか、2つの流派が生まれているということだ。
だが、ブルームバーグが「液体ニコチンでは十分な満足感が得られないと感じる消費者がいることから、加熱式たばこが開発された」と書くように、期待が高いのは、従来のたばこにより近いとされる加熱式たばこのほうかもしれない。市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルは、世界で今後2年、電子たばこより加熱式たばこのほうが成長率が高いと予測している。
実際、上述のように世界展開は早くも始まっている。JTは昨年、日本同様の規制があり電子たばこ市場のなかったスイスに、プルーム・テックを投入。PMIもアイコスを既に25カ国以上で販売し、電子たばこユーザーが増えつつあった韓国でも昨年発売している。
シェア争いのカギはシニア層へのアプローチか
まだ「戦国時代」の終わっていない日本ではどうなのか。「加熱式たばこは紙巻きたばこほど味やブランドに対するロイヤルティがなく、電子デバイスである以上壊れやすいため、ブランドスイッチが起こりやすい。シェアの奪い合いはこれから激しくなるだろう」と、野村證券の藤原氏は言う。「いまはアイコスが1位だが、誰しもが1位になれる市場だ」
今後のシェア争いのカギを握るのは、シニア層かもしれない。藤原氏によれば、喫煙者の40%強を50代が占めているが「彼らはなかなか加熱式たばこへと移らない。でも今後は、(JTの紙巻きたばこ愛煙者が多いこの層へのアプローチで)JTが強さを発揮するのではないかと見ている」。
シニア層へのアプローチでは、操作性という意味でもJTに分がありそうだ。デバイスを掃除する手間が要らない、待ち時間なくすぐに吸える、高温にならずそのままポケットにも入れられるなど、加熱式たばこ3製品の中で、最もシンプルで使いやすいのがプルーム・テックとされる。
JTは4月、アイコスやグローと同様の「高温加熱方式」の新製品(プルーム・テックは独自の「低温加熱方式」を採用している)と、プルーム・テックの進化版となる新製品の2種を早ければ年内に発売することを発表した。日本の加熱式たばこ戦争はますます激しさを増しそうだ。将来ここで覇権を握った者が、世界の新型たばこ市場を制すると言ったら言い過ぎだろうか。
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