コラム

同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由

2025年03月07日(金)20時15分

ウクライナ支援

2022年2月から2024年末までに日本がウクライナに提供した資金協力(贈与・融資を含む)は総額約430億ユーロで、米独英に次ぐ第4位。


兵器購入

これは恐らくトランプにとってウクライナ支援より響きやすいだろうが、2023年の日本の米製兵器輸入額(SIPRI)は11億ドルで、ウクライナに次ぐ世界2位(円安の影響もあるとみられる)。同じアジアの同盟国である韓国は2億ドル弱。日本の輸入額は第一次トランプ政権が発足した2017年(約4.5億ドル)と比べて約2.6倍の増加。

米軍のつなぎとめ

岩屋外相は2月20日、ルビオ国務長官と会談し、日米同盟を「新たな高み」に持っていくことで合意した。日本は防衛費をこの10年間で段階的に増やしてきた。さらに石破首相の持論「アジア版NATO」は、アジア太平洋における米軍のプレゼンス維持のため同盟国の負担増を前提にしている。

(2)ハイテク覇権抗争での「協力」

5G、AI、宇宙開発、クリーンエネルギーといった先端技術をめぐる米中抗争で、日本はHUAWEIやTikTokなどの規制に慎重な反面、アメリカのハイテク覇権を支える一翼を担ってきた。たとえば、

対中輸出規制の強化

経済産業省は1月末、中国を念頭に、先端半導体など21品目の輸出規制を強化する方針を示した。これは昨年10月、米民主・共和の超党派議員団が訪日し、規制強化を強く求めたことを受けてのもの。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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