ケニアとEUの経済連携協定締結は「アフリカ争奪戦」の趨勢を変える?
中ロ支持というより先進国への警戒
さらに、ヨーロッパを含む欧米はこれまでも貿易に関してしばしばアフリカに圧力を加えてきた歴史も無視できない。
近年では、アメリカのトランプ前大統領によるものがあげられる。アフリカ各国は自国の繊維産業育成のために古着輸入に関税をかけているが、トランプ政権はこれを「不公正」と批判し、援助削減を示唆しながらその撤廃を求めたため、ルワンダを除くほとんどの国はこれに渋々応じた。
しかも、仕方ないことかも知れないが、ほとんどの先進国はこの状況を黙殺した。
この構図こそ、アフリカのほとんどの国が中ロとの友好関係を維持する根本的な背景といえる。つまり、アフリカには中ロ支持というより先進国への警戒と不信が目立つのだ。
だとすれば、巻き返しを意識するのであれば、ただ中ロを批判するよりむしろ先進国とのつき合いを深めることの恩恵を丁寧に説明し、アフリカの警戒と不信を和らげるしかないだろう。
古い格言に「敵を知り、己を知れば、百戦危からず」という。先進国はこれまで中ロを知ることに努めてきたが、先進国自身を知らなければならない時に来ているといえるだろう。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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