コラム

海外におけるコロナ対策違反飲食店の罰金事情──消費者も問われる責任

2021年01月07日(木)11時40分

【ドイツ】

ドイツでも州ごとに対応は異なる。最初のロックダウン中の4月の段階で、例えばノルトライン・ヴェストファーレン州ではバーやディスコの営業違反に5,000ユーロ(約63万円)、カフェ、レストランなどの営業違反に4,000ユーロ(約50万円)など、細かく規定されていた。また、ベルリンではレストランなどの営業違反が1,000~10,000ユーロ(約13万~130万円)の過料の対象になった。

消費者も問われる

ただし、注意すべきは、多くの国では、飲食業に限らず、事業者とともに消費者もルール違反は罰則の対象になっていることだ。

イギリスで1月2日、イーストロンドンの飲食店で行われていた「パーティー」が摘発された際には、事業者に1万ポンドの罰金が科された一方、参加者たちに固定罰則通知(ポイントが貯まると行政罰の対象になる)が出された。罰則の重さに違いはあるが、ここでのポイントは「事業者だけでなく消費者の責任も問う」ということだ。

同様に、ドイツでは最初のロックダウン中のノルトライン・ヴェストファーレン州で、テイクアウトの商品を店舗から半径50メートル以内で飲食した場合、一人200ユーロ(約2万5000円)の過料が発生した他、公共の場でのバーベキューなどに一人250ユーロ(約3万2000円)が科された。また、ブランデンブルクでは規制に反するイベントの主催者に500~2500ユーロ(約6万3000円~約31万円)の過料支払いが命じられたが、参加者にも50~500ユーロの過料が発生した。

夜間外出禁止令が出ているフランスでは年末、「新年パーティー」に参加していた1,000人以上が逮捕された。フランスの法律によると、この場合の過料は一人135ユーロ(約1万7000円)だが、15日以内に同様のことがあれば200ユーロ(約2万5000円)に上がり、30日以内に3度目があれば3,750ユーロ(約47万円)の過料と6カ月以下の懲役が待っている。

変異種が現れた南アフリカのヨハネスブルクでは、公共の場での飲食が1,500ランド(約1万円)の過料になる。

シンガポールでは、家族以外と公共の場で5人以上集まれば一人3,000Sドル(約23万円)の過料になる。例えば昨年8月、リゾート地ラザロー島のビーチで「パーティー」をしていた12人の若者(このうち5人はイギリス人)がこの対象になった。シンガポールの法令によると、外国人の場合は滞在許可の取り消しもあり得る。

強い規制を招くのは誰か

日本ではなぜか飲食店やパチンコ店がやり玉にあげられやすく、特措法改正でも事業者への罰則ばかりが議論されているようにみえる。

しかし、「対策の実効性」を強調するなら、事業者への補償は大前提としても、罰則の対象にはサービスを提供する側だけでなくサービスを楽しむ側、あるいは公共の場でのマスク未着用に罰金が科されている多くの国のように、一人ひとりの日常生活も含めることが必要だろう。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=急落、ダウ1679ドル安 トランプ関

ワールド

関税に対する市場の反応、想定されていた=トランプ氏

ワールド

米「NATOに引き続きコミット」、加盟国は国防費大

ビジネス

NY外為市場=ドル対円・ユーロで6カ月ぶり安値、ト
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story