大統領選後の暴動・内乱を警戒する今のアメリカは途上国に近い
ケニアの場合、ケニヤッタ大統領の支持基盤であるキクユ人やカレンジン人が政府要職を占め、それぞれの地域に開発プロジェクトなどが集まりやすい反面、それ以外の民族や地域は半ば放置されている。
こうした「勝てば官軍」の状況は、手段を選ばずに選挙に勝とうとする心理を生みやすいだけでなく、「勝った自分たちこそ正義」となりやすい。逆に選挙での敗北は、ただの敗北ではなく、自分たちの存在そのものが否定されかねないため、「負けたら選挙結果を認めない」という、幼児退行したような、ゲームのルールを無視した言説さえ生みやすい。
アメリカではグローバル化にともない、専門知識や技能をもつなら、性別、宗教、人種にかかわらず社会的サクセスを期待できるようになったが、それは「白人(男性)であること」にあぐらをかきたい人(いわばグローバル化の敗者)からすれば、自らの既得権を脅かすものに他ならない。
分裂した社会で特定の勢力の支持を固めるために手段を選ばなくなる点では、ケニア最大の人口を抱えるキクユ人の支持を固めるために他のグループを排除するケニヤッタ大統領と、白人右派によるムスリムや有色人種への暴力を無視するトランプ大統領は大差ない。
制度への不信感
他にもまだまだあるが、最後に一つ付け加えるなら、制度への不信感の強さが選挙をめぐる暴力を助長しやすいといえる。
途上国では「一つの国民」としての意識が薄いことから、あたかも一つの国民がいるという前提で存在する「ことになっている」国家そのものへの信頼性が低い。そのため、公権力の象徴である議会、裁判所、警察などへの不信感も強い。
それは裏を返せば、「自分たちの正義や利益は自分たちで守るべき」という思考を強めやすい。これは少数派だけでなく、程度の差はあっても多数派にも共通する。ケニアでは選挙で有利なはずの多数派キクユ人に、とりわけ選挙をめぐる暴力が目立つ。
分裂した社会では多数派も「一つの国民」意識は薄く、彼らにとって選挙とは自分たちの利益のために公権力を利用する手段に過ぎないからだ。そのため、勝つためには手段を選ばなくなりやすい。
アメリカを取り巻く状況は、これに近づいている。
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