アフリカの子どもに銃を取らせる世界(2)中国「一帯一路」の光と影──南スーダン
英国地質調査所によると、2015年段階で南スーダンの産油量は730万トンで、これはアフリカ大陸第9位。南スーダンの輸出品はほぼこの原油に限られており、2014年以降その輸出に占める中国の割合は、ほぼ99パーセントに達しています。そして、南スーダンの油田の大半は政府・軍に管理されています。
つまり、原油と、そのほぼ全てを輸入する中国は、南スーダン政府にとって「カネのなる木」なのです。言い換えると、中国による原油輸入は、とりわけ非人道的な行為や子ども兵の徴用が目立つ南スーダン軍や政府系民兵の活動を間接的に支えているといえます。
アフリカ大陸とりわけ南スーダンを含む東アフリカは、中国が掲げる、ユーラシア大陸からインド洋をカバーする経済圏「一帯一路」構想の射程範囲内です。「一帯一路」のもと加速する中国の進出は、例えばインフラ整備を急速に進めている他、アフリカで最も雇用を生むなど、現地にとって「光」の側面もあります。スタンダード銀行のエコノミスト、ジェレミー・スティーブンスによると、中国は30,000人の雇用をアフリカで生んでおり、これは他国を凌ぐ水準と指摘します。
ただし、そのような「光」の一方で、少なくとも南スーダンの場合、「一帯一路」で加速する中国の石油輸入の増加は、結果的に残虐行為の目立つキール派を財政的に支えているのです。
変わったこと、変わらないこと
油田開発の見返りに現地政府を支援することで、結果的に中国がアフリカの紛争を激化・長期化させることは、これまでにもあったことです。2003年に始まったスーダンのダルフール紛争はその典型です。その結果、2000年代に中国は「石油のために深刻な人道危機を顧みない国」という批判を呼んだのです。
この際、中国は「内政不干渉」を掲げ、ダルフール紛争を「スーダンの内政」と強調することで、自らの立場を正当化しました。しかし、アフリカからも高まる懸念を受けて、「大国としての振る舞い」や「アフリカへの貢献」を目指す中国は、南スーダン内戦ではダルフール紛争の際と異なる対応をみせてきました。
例えば、内戦が始まった直後から中国は、周辺各国とともに南スーダン内戦の各当事者に停戦を呼びかけてきました。また、停戦監視などの任務にあたるため国連が派遣する国連南スーダン派遣団(1万7140人)に中国は1035人の人員を派遣しており、これは上から6番目の規模にあたります。さらに、南スーダンへの人道支援も行っていることから、中国系メディアでは従来の「不干渉」からの変化を強調する論調が一般的です。
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