コラム

トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済の停滞は続く

2025年02月19日(水)19時49分

2月23日に行われるドイツの総選挙を経て、どのような政権枠組みになるかは不透明だ。新政権が政策転換を明確にすれば、12月27日コラム「【2025年経済展望】期待しづらい中国、外部環境に脆弱な日本、2%成長が続く米国」で指摘したように、ドイツ経済が2025年は1%を超える成長が実現しても不思議ではない。2025年の欧州株のアウトパフォームは続くのではないか。

石破政権は財政政策の転換に依然として後ろ向き

日本については、トランプ政権から受ける外圧は、現時点では、他国と比べて大きくない。欧州で期待できる財政政策の転換は日本で起きるだろうか。

既に中期的な拡大方針が固まっている防衛費の緩やかな拡大は自民党政権であれば続くだろうが、問題は国民民主党が掲げる減税政策が実現するか否かである。ただ、筆者が想定していたとおり、石破政権は財政政策転換に依然後ろ向きなままである。

こうした状況が続く限り、日本経済そして日本株市場の停滞は続くだろう。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書が2025年1月9日発売。

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