米国を代表する製造業の1社であり、米国においてインダストリアルIoTの代名詞の1社ともなっているGEでは、Genevaというアマゾン・アレクサ対応システムを組み込んだIoT家電をすでに数多く商品化している。GEのWebサイトでも、アマゾン・アレクサとのタイアップを強調した上で、コーヒーメーカー、オーブンなど様々な商品が紹介されている。

アマゾン・エコーやアマゾン・アレクサは、IoTのプラットフォームとして、すでに競合より一歩進んだ地位を固めている状況にあるのだ。

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シャープの業態変革を待ちうけるプラットフォーム競争

ドイツと米国の事例からまず始めに示唆されるのは、シャープが家電メーカーからIoT企業へと業態変革を実現していくためには、競合メーカーをも巻き込んで自社の技術を統一規格にまで高めていくこと、さらには消費者や異業種・多業種のサービス提供企業をも巻き込んでプラットフォームを創造していくことが必要だということである。

シャープが商品化を進めているホームアシスタントについては、同社ではオープンプラットフォームとして他社にも開かれたものにしていく方針を打ち出している。

もっとも、いかに形式的にオープンプラットフォームであることを謳ったとしても、実体的に消費者やサービス提供企業を巻き込む方向性やビジョンが見えてくるわけではない。ハードとしての家電自体の付加価値が他の家電とリンクして稼動するというだけでは、消費者の経験価値を高めるのには圧倒的に迫力不足だろう。

ユーザーの経験価値が高まり、多くのユーザーを引き寄せるものにならなければ、多くのサービス提供企業を引き寄せることは困難だ。さらには多くのサービス提供企業が魅力的なサービスを当該プラットフォームで提供するようにならなければ、ユーザーの経験価値もまた高まらないだろう。

アマゾン・エコーは、音楽を聴き、ニュースを聞き、アマゾンで商品を注文し、スターバックスやウーバーなど数多くの異業種のサービス提供を受けられるプラットフォームとなっていること、さらにはアマゾンのビジネスモデルのなかにはEC、クラウドコンピューティング、音声認識システム、AI、ロジスティックのノウハウなど、これまで同社が様々な事業で蓄積してきた知見が結集されていることを強調しておきたい。

2番目に指摘したいのは、IoT分野におけるプラットフォームを実現していくのは容易ではないなかで、プラットフォームを実現しつつあるメガテック企業といかに競争や協業をしていくのかということである。

スマートホームのプラットフォームを目指しているのは、アマゾン・エコーだけではない。グーグルがグーグル・ホームで、LINEもClovaで、このポジション獲得を狙っている。

このようななかで、シャープは本当に自らプラットフォーム実現を目指すのか、アマゾンやグーグル等の企業と協業し、IoT家電というハードに特化し、差別化された商品を提供することに特化するのか、できるだけ早期のうちに判断するべきであろう。

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プラットフォーム競争に敗れたとき、商品が一気に経済的に陳腐化するリスクは大きい。「IoTといえば家電」と言われたタイミングはすでに過ぎ去り、今やより多くのものがIoTでつながる時代へと変貌を遂げている。優れた家電商品を開発してきたシャープとしては、メガテック企業と協業し、差別化されたハードにこだわるというのも、より現実的な戦略の一つだろう。

「事業企画」への違和感