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戦争に加担するハクティビストのDDoS攻撃、日本も「標的」と名指し...勧誘や訓練で、すそ野が拡大中
また、ハッカーによって作成された多くの自作の攻撃ツールが、メッセージングアプリ「Telegram」や、ソフトウェアを開発できる「GitHub」のようなプラットフォームで広く共有されている。さらには、現在進行している紛争でサイバー攻撃を開始する方法に関するチュートリアルも、筆者がCEOを務めるサイバーセキュリティ企業サイファーマでは、組織に危険を与えるサイバーリスクを徹底調査する脅威インテリジェンスとして提供する外部脅威情勢管理(ETLM:External Threat Landscape Management)で、実際に特定し、分析している。
ハッカーたちは、紛争の当事国や地域だけでなく、それぞれを支持する支援国などもターゲットにする。パキスタンやトルコ、バングラデシュ、イラン、イエメンのハッカーたちの多くは、パレスチナを支持している。イスラエルとハマスの紛争では、日本政府がイスラエルへの支持を表明した後、ハクティビスト集団の一部が日本政府や民間企業を攻撃ターゲットとして名指している。
アノニマスもイスラエル支援国への攻撃を呼びかけ
ハッカー集団であるアノニマスも、「Telegram」などでイスラエルとイスラエルを支持する国や勢力を継続的に攻撃するよう呼びかけている。パレスチナを支持するハクティビスト集団が多数存在する一方で、パレスチナに反対するグループの数ははるかに少ない。
親パレスチナのハクティビスト集団は、クロアチアや西インド諸島などで、電光のビルボードをハッキングして、イスラエルを批判するようなメッセージを表示させるなどの工作を繰り広げている。このように、紛争に起因するサイバー攻撃が各地に飛び火しているのである。
そのほかの例では、例えばイスラエルを支持するインドでは、イスラエルを支持するインドのハッキング集団がパレスチナ関連組織などにサイバー攻撃を実施した。すると、そうしたインド勢力による攻撃に報復する目的で、バングラデシュに拠点を置く親パレスチナのサイバー攻撃グループ「SystemadminBD」がインド政府を標的にしたハッキング攻撃を実施。インド政府の内部データを盗んで漏洩させたと主張した。さらにこの「SystemadminBD」は、パレスチナ支持を示すために、いくつかのインドの工科系大学などのデータベースも侵害した。
アノニマスはさらに、インドで国営郵便サービスを提供するインディア・ポストを攻撃。ウェブサイトが4日間もアクセス不能になり、数多くの利用者に影響を及ぼした。
トルコのサイバー攻撃集団である「Turkhackteam」は、イスラエルの対外諜報機関であるモサド(対外情報庁)を攻撃対象にしている。
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