コラム

元No.1ホストに聞いた、歌舞伎町という「居場所」と社会とのつながり

2019年12月19日(木)19時25分

「仕事を続ける意味があるかと考えたとき、ホストはもっと社会と向き合うべきと思った。これからは商品の差異がなくなり、何を買うかから、誰から買うかに変わる。その人が好きだからと。ホストの仕事は将来そのまま何かに転化できると思った」

インタビューの最中、彼の事務所ではクラシックが流れていた。隣の部屋ではお客さんの高齢者が談笑し、デスクでは赤ちゃん連れの女性が働いていた。手塚さんは普通なのだろうか。普通とは、受け身で個性を埋没させるもの。しかし手塚さんの「普通」は能動的だ。周囲を観察し、自分を客観視する。理想は高く、既存のものに満足しない。手塚さんの「普通」は周囲の普通を刺激する。

インタビューを終えたとき、歌舞伎町の雑居ビルの一室に響くシューマンへの違和感は消えていた。

<本誌2019年12月17日号掲載>

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プロフィール

久保田智子

ジャーナリスト。広島・長崎や沖縄、アメリカをフィールドに、戦争の記憶について取材。2000年にTBSテレビに入社。アナウンサーとして「どうぶつ奇想天外!」「筑紫哲也のニュース23」「報道特集」などを担当。2013年からは報道局兼務となり、ニューヨーク特派員や政治部記者を経験。2017年にTBSテレビを退社後、アメリカ・コロンビア大学にてオーラスヒストリーを学び、2019年に修士号を取得。東京外国語大学欧米第一課程卒。横浜生まれ、広島育ち。

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