第2回日露防衛・外交トップ会談(2プラス2)──すれ違う思惑と今後の展望
北方領土における軍事力強化についても、こうした文脈から理解する必要があろう。
まずは信頼醸成措置から
このように今回の日露2+2では議論が平行線に終わった印象が強いが、一定の進展に期待できる部分もある。
ショイグ国防相が言及した、「危険な軍事活動を防止するための日本との合意に調印する用意」はそのひとつである。
現在のところ日露は、海上及び空中での異常接近を防止するための海上事故防止協定(INCSEA)を1993年に締結しているが、それ以上の具体的な信頼醸成措置には踏み込めていない。
たとえば互いの兵力配備や演習動向を総合に通報したり、オブザーバーを入れて監視し合うといった制度(中露間やロシアと西側との間には存在する)を導入することができれば、北方領土問題をめぐって日露間に抜きがたく存在する軍事的な不信感の緩和には一定の効果が見込めよう。
ことに日本をまずもって「米国の同盟国」である観点から捉えるロシア側としては、安全保障面での信頼醸成なしに領土問題の進展はあり得ないとの見方が根強い。
プーチン大統領は昨年の訪日に先立ち「中露の国境問題解決には40年掛かった」と述べて日本側の期待をけん制したが、まずはこうした地道な努力を積み重ねることから始めるしかないのではないだろうか。
もちろん、日本としては安全保障の基礎を日米同盟に置いている以上、それを損なうものであってはならないが、すでに述べたようにこの程度の信頼醸成措置はNATOとロシアの間でも行われていることである。
ロシア側が求めているとされる、「北方領土への日米安保の不適用」のような同盟体制の根幹部分に踏み込まない限り、日本としてできることはまだ残っているといえよう。
まずは4月に予定されている安倍首相の訪露において、安全保障面でどの程度の議論が行われるのかを注視したい。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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