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スペインに旋風を巻き起こす極右政党VOXは、「ネオナチ」というより「普通の市民」の顔をしている
しかし、ナチスの記憶が生々しく残るドイツでも極右政党「ドイツのための選択肢」が国政に進出したのと同じようにスペインでも極右政党VOXが躍進するのは避けがたい情勢となっている。
アバスカル党首の外見はマッチョ系で、イタリアの極右政党「同盟(旧北部同盟)」のマッテオ・サルビーニ副首相兼内相(46)と良く似ている。
しかし、欧州連合(EU)に対する立場は正反対。VOXは親EU政党なのが唯一の救いと言えるかもしれない。
若者の失業率は45%
VOX支持者の銀行員パブロ・アリアスさん(45)は「カタルーニャの独立問題にせよ、労働市場にせよ、スペインは壊れている。国民党は生ぬるい。カタルーニャの独立派には徹底的に対処すべきだ」と憤る。
スペインの失業率は14.5%。若者の失業率は32.4%と高止まりしている。アンダルシア州の失業率は21.3%、若者の失業率は45.1%に達している。アリアスさんは「産業もなければ、投資も入ってこないからだ」と言葉を叩きつけた。
総選挙では社会労働党が議会第一党になる見通しだが、国民党、シウダダノス、VOXの右派3党が連立を組むシナリオも残されている。VOXの影響力が出ることで難民規制や不法移民対策が強化される可能性もある。
英国のEU離脱が完全に膠着状態に陥る中、5月の欧州議会選でドイツ、フランス、イタリア、スペインの主要国だけでなく、北欧・旧東欧諸国でも極右ポピュリスト政党が台頭するのは必至の情勢だ。
極右は「ネオナチ」というより「普通の市民」の顔をしている。それだけに欧州の闇は深いと言わざるを得ない。