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日本の防衛費「GDP1%枠」は聖域か、それとも単なる数字合わせ? 世界平均は2.2%
一方、クリミア併合、旧ソ連時代を通じて中東での初の軍事行動となったシリア介入を強行したロシアは同時期、国防支出を20%も減らしている。ウラジーミル・プーチン露大統領は核・ミサイルや軍の近代化を急ピッチで進めているものの、西側の経済制裁はボディーブローのように効いているようだ。
地域別で見ると、アジア・オセアニア地域は対前年比3.6%増の4770億ドル。世界に占める割合は27%(08年は17%)。08年に比べると国防支出の総額は59%も拡大している。
08年からの10年間では(1)カンボジア332%増(2)バングラデシュ123%増(3)インドネシア122%増(4)中国110%増のほか、40%以上国防支出を増やした国の中にはベトナム、フィリピン、キルギスタン、ミャンマー、ネパール、インドが顔をそろえる。
米中の国防支出ではまだまだアメリカが圧倒的な優位を保っているが、ロンドンにある有力シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は13年当時、早ければ中国の国防支出は2045年ごろにはアメリカと肩を並べると予測している。
中華人民共和国建国100周年(2049年)に中国は軍事力でアメリカと肩を並べるのが習近平国家主席の掲げる「中国の夢」の一つだ。
不明瞭な日本の防衛費
習氏は昨年10月の第19回党大会で「新しい時代に強い軍隊を構築する。中国共産党の目標は中国人民解放軍を共産党の命令に従う世界一流の軍隊にすることだ。戦って勝つ。そして品位を保てる軍隊だ」と演説した。
中国の太平洋進出の防波堤となる日本は日米同盟を基軸にオーストラリアやインドともスクラムを組む必要がある。そのために必要な軍備増強は避けては通れない。
対国内総生産(GDP)比で見た世界の国防支出は1992年の3.3%から2014年には2.1%まで減少したものの、昨年は再び2.2%まで上昇した。
日本は0.9%だが、この数字からは退官した元自衛官の年金が抜かれている。年金を加えると「防衛費1%枠」を超えるのは間違いない。平和憲法の名の下、防衛費1%枠の「聖域」を守るためだけの数字合わせはもう止めて、そろそろ軍人年金を含めたNATO標準に合わせた数字を公表すべき時ではなかろうか。
そうでないと日本の防衛費が世界的に見て、どの辺りに位置するのか正確に把握するのが難しいし、アメリカの世論に対して日本の軍事的な貢献度を伝えられなくなる。
「1%」という数字合わせではなく、生の数字を出した上でNATO目標の国防支出GDP比2%に足並みをそろえる必要がある。