コラム

【韓国大統領選】李在明と尹錫悦の経済政策、不動産政策、労働政策を比較する

2022年02月21日(月)10時50分

李候補が「基本シリーズ」、「555公約」、「政府の財政移出拡大」等の経済政策を推進する計画であることに比べて、野党「国民の党」の尹候補は、「力動的な成長、温かい福祉、成長と福祉における公正性の確保」を主な内容とする、いわゆる「Yノミクス」に基づいて経済政策を実施する方針だ。

尹候補は、政府の介入よりは市場の役割を重視し、民間中心の経済成長を推進したいと考えている。また、コロナにより増加した国の負債を減らすために、国の財政支出を縮小する等財政の健全化を追求する考えだが、法人税、付加価値税などの税金をあげる増税については否定的な立場を示している。さらに、証券取引税や総合不動産税も廃止する方針だ。

進歩・改革系である李候補が財政支出拡大と増税を考えていることに対して、保守系である尹候補は財政支出縮小による財政健全化と減税を推進しようとしている。このような政治路線による財政政策などの違いは歴代政権からも確認できる。

歴代政権における在任期間中の予算増加率をみると、進歩・改革系政権の予算増加率は保守系政権に比べて相対的に高くなっている。例えば、進歩・改革系だった金大中、盧武鉉元大統領の在任期間中の予算増加率はそれぞれ31.6%と117.4%と保守系の李明博、朴槿恵元大統領時代の 20.2%と 13.0%を大きく上回っている。さらに、まだ任期中であるが進歩・改革系の文在寅大統領の予算増加率も39.3%と保守系政権より高い。

歴代政権の在任期間中の予算増加率
kim20220220191306.jpg

最後に、エネルギー政策と関しては両候補共にカーボンニュートラルを目指している。但し、原発に対しては李候補が脱原発を主張していることに対して、尹候補は脱原発に反対しており、二人の意見が分かれている。

李在明、尹錫悦候補の主な不動産政策比較

次は不動産政策である。不動産政策は「供給拡大」と「投棄抑制に対する対策」に大きく区分することができる。まず、「供給拡大」から見てみよう。李候補は国や自治体、韓国土地住宅公社等のような公共主導で住宅の供給を増やす方針であることに対して、尹候補は貸出に関する規制を緩和すると共に民間企業を中心に供給を拡大すると考えている。

李候補は、ソウルの107万戸を含めて全国に311万戸の住宅を供給し、住宅価格を安定化する計画である。この中で140万号は基本住宅で供給すると発表した。李候補は最初は国と自治体の予算を使って住宅を供給すると発表したものの、最近は尹候補の政策を意識しているせいか、民間投資も許容するという意見も述べている。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ2都市にロシアが攻撃、和平協議直後

ビジネス

乳児ボツリヌス症の集団感染、バイハート社の粉ミルク

ワールド

北朝鮮抑止「韓国が主な責任」、米国防総省が関与縮小

ワールド

トランプ政権のEVインフラ助成金停止は違法、米地裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 3
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投稿したアメリカを嘲笑する動画にネット爆笑
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    「これは違法レベル...」飛行機で「史上最悪のマナー…
  • 9
    トランプを支配する「サムライ・ニッポン」的価値観…
  • 10
    3年以内に日本からインドカレー店が消えるかも...日…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 9
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story